IHが得か、ガスが得か。使い勝手とメリット、ランニングコストを比較!

住宅購入を考える際に重要なのが、ランニングコストの計算です。限度いっぱい住宅ローンを組んで新居を購入すると、ランニングコストが重くのしかかり、破綻するといった事態にもなりかねません。そのため、この住宅に住めばどれくらいコストがかかるのか、それをいかに減らすか、という発想が必要となります。

その中で、最もわかりやすいのが光熱費です。調理の際、ガスを使うのか、それとも電気を使うのか、といったことだけでコストは大幅に変わってきます。

ただ、コストだけで選んでしまうのも問題です。自分のライフスタイルに合った選択をしないと、後から変更しようとして余計な出費となってしまった、ということも。そこで今回は、IHとガスについて考えていきましょう。

それぞれのメリット・デメリットをどう考えるか

まずIHのメリットについて見ていきましょう。

IHの仕組みは、磁力線によってコンロと鍋の間に電気抵抗が起き、鍋が発熱することで調理を行う仕組みです。ガスコンロでは火により鍋を温めますが、IHでは鍋自体が発熱する点が特徴です。

これは普段から調理をする人にはすぐに理解できると思いますが、非常に大きなメリットです。鍋自体が発熱するため、広範囲が一気に熱くなるので、非常に火の回りが早いのです。つまり温度の差が生じにくく、焼きムラなどが起こりにくくなります。

「IHは火力が弱い」というイメージもあるかもしれませんが、近年のものには当てはまりません。ガスに比べても熱の回りに遜色はなく、すぐに高温調理に入ることができます。

もう一つ、大きなメリットは、火を使わないため、火災のリスクが低いことです。マンションの高層階など、火災が起きた際になかなか消火できない住宅は、ガスではなくIHが標準装備となっているのはこのためです。

五徳などの凹凸があるガスコンロに比べ、IHはフラットな形状がほとんど。そのため、掃除など普段の手入れがラクというのも大きなメリットといえるでしょう。

IHとガス、どちらが得かは料金だけでは選べない

ガスであること自体がメリットに

ガスコンロだからこそのメリットとは、そのものズバリ、ガスを使っていることです。家のライフラインを電気に集中してしまうと、停電の際にすべての機能が失われます。ガスコンロにしておけば、リスクを分散させることができるのです。ただし、電気により着火するタイプもありますので注意が必要です。これから購入する際は、電池で着火するタイプを選べば非常時の不安を減らせるでしょう。

また、電気は時間帯によって料金が変わることも。ガス料金はどの時間帯に使用しても同じですが、電気は昼間は高め、深夜・早朝は安めになるプランもあります。ガスであれば時間を気にせず使うことができるため、使い勝手の良さを感じる人も多いでしょう。

すでにさまざまな調理器具を持っている人も、ガスのほうが便利といえそうです。調理器具によっては、IHに対応していないものもあるため、IHの導入に合わせて大量に鍋を買い換えることができるのであれば問題ありませんが、「使い慣れたものをそのまま使い続けたい」といった場合はガスコンロを選択する必要があります。

IHとガスの料金比較

上記のようなメリット・デメリットのあるIHとガスですが、料金に差はあるのでしょうか? 1kWh(キロワットアワー)の料金と、同等のエネルギーをガスで消費した場合の料金は、以下の通りです。

IHの場合
電力会社や契約プランによって差はありますが、一般的な家庭の場合、電気料金はだいたい1kWhあたり約20~30円程度。21:00~9:00や23:00~7:00など、夜間・早朝がお得になるプランも用意されています。

ガスの場合
都市ガスの場合は、ガスコンロ使用時のランニングコストは以下の通りです。つまり、中火~弱火で調理した場合、都市ガスのほうがIHガスがお得になりそうです。太陽光発電などを導入している家庭では、IHのほうが得になるケースも増えます。

【ガス料金の目安】
■強火で1時間加熱した場合 約25.7円
■中火で1時間加熱した場合 約14.5円
■弱火で1時間加熱した場合 約 3.3円
※参考:東京ガスホームページ

いずれの場合も、単位あたりの料金とは別に、基本料金が数百円~千数百円かかります。

さらに、それぞれの導入コストがあります。IHはコンセントを差し込めばすぐに使えるのに対し、新しくガスコンロを設置する場合、配管工事などが必要になる場合も。都市ガスでは引き込み配管などの敷設も行えば、10~20万円程度の費用がかかることもあります。

トータルで考えてどちらが得か検討しよう

日々、かなりの量を調理するなら、料金でも使い勝手でもガスが圧勝でしょう。一方、ちょっと調理する程度であれば、手入れも楽なIHに分があるかもしれません。要は、それぞれのライフスタイルによって、どっちが得かが決まるのです。

迷ったときには、卓上ガスコンロや卓上IHヒーターもあるので、まずはそれぞれ使ってみてから決めるという手も。単純に料金だけにとらわれず、トータルで検討したほうが良いでしょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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