少子高齢化が問題になっていますが、少子化の流れは止まらず、2016年にはついに出生数が100万人を切りました。これは1899(明治32)年に統計を取り始めてから初めてのことです。共働き家庭が増加し、育児をしながら働く人も増えてきました。ここでは、子育てをサポートしてくれる施設や助成制度についてチェックしていきましょう。
すべての人にとって働きやすい環境を
ヨーロッパなど、子育てと仕事が両立できる国では出生率が上がり、女性が子育てと仕事のどちらかを選ばなくてはいけない国では出生率が低くなる傾向があります。子育てをしながら働ける環境をつくること、そして父親が積極的に家事や育児に関われるようにすることが、出生率上昇のカギになると考えられているのです。
高齢化によって親の介護をしながら働く人も増えていますが、家庭と仕事を両立できる仕組みができれば、すべての人にとって働きやすい環境になるでしょう。
どんな子育て支援があるの?
子育てを社会全体で支えようと、政府や自治体はさまざまな子育て支援策を行っています。
子どもが病気になったのに仕事などで出かけなければならず、家で保育できない場合は、「病児保育」という制度があります。病院や保育所内にあるスペースで、保護者が迎えに来るまで体調不良の子どもを一時的に預かってくれるところもあります。2016年度から、保育中に具合が悪くなった子どもを看護師などが送迎し、病児保育施設で見てくれる仕組みもできました。
短期間のパートタイムや急な用事、リフレッシュしたいときなどに、地域子育て支援拠点や保育所などで子どもを預かる「一時預かり」というサービスもあります。
「地域子育て支援拠点」では、地域にある保育所や公共施設などで、子育て相談をしたり、ほかの子どもと遊んだり、親同士の交流が可能です。先輩ママから子育てのアドバイスをもらうなど、子育てに役立つ情報も得られるでしょう。
冠婚葬祭や出張、病気などで外泊しなければいけなくなった場合は、「子育て短期支援」を利用してはどうでしょうか。子どもを短期間預け、宿泊させることもできます。また、平日の夜などに子どもをみられない場合も、一時的に預かってくれます。
「放課後児童クラブ」では、保護者が日中、家にいない小学生のために、小学校の空き教室や児童館などで、放課後を過ごすことができます。
たくさん仕組みがあると、かえって何を利用したらいいのかわからなくなりそうですが、そんな時は「利用者支援」で相談をしてみましょう。
利用者支援専門員が、利用できる子育てサービスの紹介など情報提供や、地域の子育てサークルや保健センター、ハローワークなどの関係機関と連携し、相談にのってくれます。利用者支援の窓口については、お住まいの自治体に確認してください。
なお、自治体では子どもの医療費を助成しており、一般的には小学生になる前の乳幼児や、義務教育期間の15歳までの子どもを対象にしています。
もっと手厚い助成をしている自治体もあり、北海道南富良野町では、町内に住む0~22歳までの乳幼児、子ども、学生を対象に医療費の全額を助成。子どもが進学などで町外へ出た場合も、保護者が町内に住んでいれば助成の対象になります。
企業向けの子育て支援助成制度
働きながら子育てするには企業の協力も不可欠。政府は、会社がつくる保育所を増やそうと考えています。これは企業主導型保育事業といい、従業員のために保育施設を設置したり、既存の施設の定員を増やす場合などに助成金を支給したりするほか、税制優遇制度、融資制度も設けられています。
一社が単独で保育所を設置するタイプだけでなく、複数の企業が設置して共同で利用するタイプ、保育事業者の施設を複数の企業で利用するタイプなどが対象です。たとえば、都市部で定員20人の施設を新設する場合は、工事費用の4分の3相当が助成され、自己負担は4分の1程度ですみます。
保育所の運営費にも助成金が出るので、利用者や企業の負担額を軽減できます。手続きや募集概要は、企業主導型ポータルサイトで確認しましょう。
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業では、従業員が仕事のためにベビーシッターを利用した場合、1日につき2,200円の割引をうけられる割引券を発行します。なお、申請は事業者が行います。
義務教育前の双子など、多胎児を育てている場合も割引券が発行されます。双子の場合は1日9,000円、三つ子以上の場合は1日18,000円の割引を受けることができます。詳しくは、公益社団法人全国保育サービス協会へ確認を。
(最終更新日:2019.10.05)