近年、おしゃれでかわいい北欧デザインやニューノルディックフードで注目を集めている北欧の小さな国・デンマークは、「世界一幸福な国」に繰り返し選ばれてきました。デンマークに住んで約8年になる筆者は、幸せな国デンマークを支えているのは、なんといってもデンマーク人ならではの「ヒュッゲ(Hygge)」という価値観だと感じています。そこで、今回は彼らが大切にする「ヒュッゲ」について紹介します!
世界的ブームとなった北欧デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」
北欧デンマーク発の「ヒュッゲ(Hygge)」という言葉を聞いたことがありますか? ヒュッゲはデンマーク語で「心地良いひととき」を意味し、デンマーク人のアイデンティティとも言えるほど日々の暮らしに入り込んでいる言葉です。
デンマークに移住したイギリス人ジャーナリストであるヘレン・ラッセルが2016年に「幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での『ヒュッゲ』な1年」を刊行してから、ヒュッゲは世界的ブームとなり、日本でも紹介されるようになりました。
実際に住んでみるとデンマークも決してストレスフリーな国ではありませんが、ヒュッゲには間違いなく私たちが日々の暮らしを楽しんでいくためのヒントが隠されています。
季節の移ろいとともに変わる「ヒュッゲ」の楽しみ方
デンマークでヒュッゲと聞いて連想するシーンは季節によってさまざまです。夏場は、ビーチや庭園で寝そべって日光浴、ビールやワイングラス片手に庭のテラス席でおしゃべり、ベランダや庭での家庭菜園、収穫した野菜やフルーツを使った料理、親しい家族や友達とBBQ…。これらが典型的な夏のヒュッゲです。一年のうち、暗くて寒い時期が長いデンマークでは、夏は待ちに待った季節。夏場のヒュッゲに太陽光は欠かせません。夏はとにかく浴びられるだけの太陽光を浴びて、のびのびと自然と戯れます。
冬場のヒュッゲといえば、ロウソクの灯りを囲んでケーキを食べながら団らん、暖炉の前で厚手の靴下を履いて毛布にくるまり、熱いマグカップを片手に読書を楽しんだり、暗がりにかわいいクリスマスオーナメントを飾ってインテリアを楽しんだり、家の中でのシーンが大半。北欧の長く厳しい冬を明るく乗り切るためには室内の快適さが絶対条件なので、デンマーク人は住居の断熱や素敵なインテリアづくりに情熱を注ぎます。冬場のヒュッゲは、室内の温かさと素敵なインテリアがセットなのです。
ヒュッゲはいつでもどこでも身近に感じられるもの
ヒュッゲと聞くと「遠い北欧のデンマークの暮らしに根差したもの」と感じてしまうかもしれません。でも、ヒュッゲは、私たちの暮らしの中でいつでもどこでも身近に感じられるものです。何よりも大切なのは、「何をするか」ではなく、その場に流れる心地良い空気感をそのまま楽しむ―。それこそがヒュッゲなのです。
たとえば、お気に入りのカフェでホッと一息つくとき、家族や親しい友達とまったりと過ごすとき。ホッと肩の力が抜けるような心地良さを感じることはありませんか? デンマーク人はそんな心地良いひとときをヒュッゲと呼び、日々の暮らしの中で大切にしているのです。
日本的ヒュッゲは「ほっこり」「まったり」「ゆったり」
デンマークにはデンマークらしい、日本には日本らしいヒュッゲの仕方があるはずです。デンマークのヒュッゲを体感した筆者から見ると、日本的ヒュッゲは「ほっこり」「まったり」「ゆったり」にあるように感じます。
私が日本でヒュッゲを感じるのは、心地よい風が吹く春の小道を散歩したり、パチパチと燃える線香花火を眺めたり、風鈴の音を聴いて夕涼みをしたり、温かな足湯に浸かったり、家族・親戚や親しい仲間とこたつに座ってお茶菓子を食べたり、気取らない喫茶店で丁寧に淹れたコーヒーを飲んで一息ついたり、休日にじっくりと料理を仕込んだり…。そんな光景です。きっとあなたの暮らしの中にもたくさんのヒュッゲ(心地良い)な瞬間があるはず。ぜひ見つけて、小さな幸せを感じてみてくださいね。
日本でヒュッゲな暮らしを送るための10のヒント
最後に、日本でヒュッゲな暮らしを送るための10のヒントをお伝えします。どれもデンマーク人が無意識に大切にしていることです。今すぐ実践できることばかりなので、ヒュッゲを日常に取り入れてみたい方はぜひ試してみてください。
日本でヒュッゲな暮らしを送るための10のヒント
1.自分らしく無理せず自然体でいる
2.今ここにあるものに目を向けて感謝する
3.DIY・ハンドメイドで自分の暮らしをつくる
4.気に入ったモノを長く大切に使う
5.自然の恵みを感じて暮らす
6.プライベートな会話でネガティブな発言や批判をしない
7.その場にあるほっこりとした空気感を楽しむ
8.携帯電話やパソコンなどから離れる時間をつくる
9.自分の優先順位をはっきりさせて取捨選択する
10.人と適度な距離感を保ち、自分を大切にすると同時に相手を尊重する