不動産ブローカーによるトラブルに注意! 不動産業者とどこが違う?

「不動産ブローカー」という言葉を耳にしたことはありませんか。一般的な不動産業者と同じように思いがちですが、実は不動産ブローカーは正規の免許を持たずに不動産の仲介を行う人物のことなのです。うっかり不動産ブローカーに関わってしまえば、大きなトラブルに巻き込まれかねません。そこで、今回は不動産ブローカーの実態と正しい見分け方などについて解説していきます。

不動産ブローカーとはどんな存在?

不動産ブローカーとは、「資格や免許を持たずに不動産取引を行う者」のことです。通常、不動産の取引を行うためには「宅地建物取引士」という資格が必要になります。また、開業するために宅地建物取引業の免許も取得しなければなりません。事務所を構えないまま不動産取引を行うことはできないため、宅地建物取引士の資格と宅地建物取引業の免許、その両方を持っている必要があるのです。資格や免許を持たずに不動産取引を行えば、法律違反に該当し、処罰の対象となります。そのため、不動産ブローカーとは取引を行わないよう注意しなければなりません。

不動産ブローカーの手口は、業者によって実にさまざまです。知り合いに取引できそうな物件を紹介して報酬を得るというケースや、不動産取引について詳しい知識もないまま仲介するといった悪質なケースまであります。
なかでも多いのが、まず売主となる個人や不動産業者を見つけ、買主となる不動産業者へ紹介して紹介料を受け取るという方法です。法律違反にならないように、免許を持つ正規の不動産業者に契約業務を担ってもらうことで、宅建業法の規制を逃れているのです。

情報を鵜呑みにしてしまうのは危ない!

不動産ブローカーは、どこからか有益な不動産物件の情報を入手し、それを紹介することで収入を得るケースが多いです。肝心の不動産物件情報は「人脈」に頼っている部分が大きく、地元の不動産業者や住宅メーカー、弁護士や地主など多岐にわたります。

情報を持っているとはいっても、不動産ブローカー自身のスキルやネットワークなどにより、保有する情報の価値や種類もそれぞれに異なります。そのため、仮に不動産ブローカー経由で有益と思える情報がもたらされたとしても、その情報を鵜呑みにするのはやめましょう。不動産ブローカーの中には、なかなか買い手が付かないような怪しい物件情報を保有している者もいるため危険です。

大手不動産業者など、コンプライアンスを重視するところは不動産ブローカーとの接触を避けるケースも多く、いくら魅力的な情報に思えても安易に手を出さないほうが賢明です。

不動産ブローカーが介在するトラブルに要注意

ブローカーの収入源と報酬の相場

不動産ブローカーの主な収入源は、不動産の情報を紹介した不動産業者が得る仲介手数料の一部です。一般的に、不動産業者は不動産取引が成立した場合、売主と買主からそれぞれ仲介手数料を受け取ります。不動産業者は、受け取った仲介手数料の一部を紹介料として不動産ブローカーに渡しているのです。

免許を持つ正規の不動産業者は、仲介手数料の金額も宅地建物取引業法によって定められています。具体的には、物件価格が400万円以上の場合は3%に6万円を加え、それに消費税を課した金額です。この仲介手数料のうち、スキルの高い不動産ブローカーであれば約50%、スキルが低いブローカーなら約10~30%が報酬として渡されるケースが多いようです。

自称コンサルタントという人物には警戒!

不動産は、高額の金銭が動くことの多い取引です。そのため、取引を聞きつけた怪しげなコンサルタントが接触してくるケースもあります。不動産業界の規制強化によって従来の不動産ブローカーは減少してきましたが、独自の人脈でコンサルタントを名乗り、ブローカー業を始める個人投資家なども登場しているので注意しましょう。

通常、コンサルタントとは財団法人不動産流通推進センターの認可を受けた人物で、不動産コンサルティング技能登録者を指します。この登録を受けていない「自称コンサルタント」も多く、過去には自称コンサルタントが絡んだことで裁判にまで発展したトラブルもあるのです。

正規の不動産業者は、物件を紹介することで法律上のさまざまな責務を負っています。ところが、法律を無視して活動している不動産ブローカーは、なんの責任も義務も負っていません。報酬を得ればそれで終わりであり、その後トラブルが起きても対応や解決を期待するのは難しいでしょう。不動産ブローカーはもちろん、自称コンサルタントにも十分に注意することが必要です。

アメリカのブローカーは日本と異なる

ひと口に不動産ブローカーといっても、日本とアメリカでは概念が異なります。日本では違法に不動産取引を行う人物を指し、社会的な認知度も高くありません。
一方、アメリカにおける不動産ブローカーは高い社会的信用度を誇っています。なんと、医師や弁護士と並び称される3大資格の一つとして知られているほどです。もちろん、日本のように法律を無視して活動しているわけではありません。規定の科目を履修し、州ごとに定められた正式な資格を取得してはじめて不動産ブローカーとして認められます。

また、アメリカでは報酬体系も完全歩合制となっており、基本的に月給や年俸などの固定給は存在しません。このように、日本とアメリカでは、同じ不動産ブローカーでもさまざまな違いがあるのです。

地方の物件ではブローカーが絡みやすい

地方の不動産物件の場合、地元の農家や建設業者などが不動産ブローカーとして絡んでくるケースもあります。本人たちが悪気なくやっていたとしても、資格や免許がないまま不動産取引に関われば、宅地建物取引業法違反に問われます。不動産ブローカーが絡むとトラブルが起きたときに問題が大きくなるため、地方の物件を売買するときは特に注意が必要です。

たとえば、正規の不動産業者は保証協会に加入しているため、業者が倒産するなどしても保証協会が一定額を弁済してくれます。一方、不動産ブローカーは当然保証協会に加入していないため、万が一の事態が起きると泣き寝入りするしかありません。このようなリスクを考慮し、必ず正規の不動産業者を選ぶようにしましょう。

不動産ブローカーよりも、不動産仲介業者を利用した方が安心

不動産ブローカーが介入すると、不動産取引のリスクがかなり高くなります。安心して取引を行うには、やはり法律にしたがって資格や免許を取得している正規の不動産仲介業者に依頼しましょう。
正規の不動産業者は、各都道府県庁が公開している宅地建物取引業者名簿に登録されています。「きちんと登録されているか」「過去に業務停止処分などを受けていないか」などをチェックし、信頼できる業者を探しましょう。また、登録だけでなく、実際にきちんとした事務所を構えているかも重要なチェックポイントです。

不動産仲介業者の役割は、売主と買主の希望を調整し、取引をスムーズに成立させる点にあります。免許や事務所はもちろん、こちらの不明点や疑問点にも丁寧に答えてくれるなど、対応内容がしっかりしているところを選ぶよう心掛けるようにしてください。信頼できる業者の見極めは難しいですが、安心して取引を終えるためにも、時間と労力を惜しまず探しましょう。

不動産売買時には信頼関係が何よりも大切!

マイホームは、人生で一番大きな買い物になるケースもめずらしくありません。それだけに、不動産ブローカーが絡んできて後悔するのは避けたいところでしょう。このようなリスクを避けるには、何よりも不動産業者との信頼関係を築くことが重要です。不動産ブローカーの危険性を知り、自分に合った正規の不動産業者を選択するためにも、情報収集を欠かさないようにしましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
~こんな記事も読まれています~