自動車には万一の事故から乗っている人を守るために、様々な安全装置が搭載されています。中でも、エアバックやシートベルトはその代表的なものだといえるでしょう。しかし、これらの装置は大人の体格を基準に作られています。すなわち、エアバックが開く位置やシートベルトを締める位置は、子どものからだにフィットしていません。ですから、もしこれらが作動するようなことがあった場合、返って凶器になってしまうことがあるのです。そこで、子どもの安全を守るために開発されたのがチャイルドシートなのです。
3種類あるチャイルドシート
一概に子どもといっても、首の座らない赤ちゃんから、体格の良い小学生まで様々です。これらを1種類のチャイルドシートで賄うことはできません。ですから、子どもの成長に合わせて3つのタイプが用意されています。
まず、新生児から1歳ぐらいの赤ちゃん(体重13㎏未満・身長70㎝以下)を対象に、寝かせて使用できるタイプのものが乳児用で、一般にベビーシートと呼ばれています。2つ目が幼児用で背もたれがあり座らせて使うタイプです。1歳~4歳ぐらい(体重9㎏~18㎏・身長65㎝~100㎝)が対象です。3つめはジュニアシートと呼ばれている学童用で、シートの座面に置いて座高を底上げします。4歳~10歳ぐらい(体重15㎏~36㎏・身長は135㎝以下)の子どもが使用します。
【3種類のチャイルドシートタイプ】
対象 | タイプ |
新生児から1歳ぐらいの赤ちゃん(体重13㎏未満・身長70㎝以下) | 寝かせて使用できるタイプの幼児用 |
1歳~4歳ぐらい(体重9㎏~18㎏・身長65㎝~100㎝) | 背もたれがあり座らせて使うタイプの幼児用 |
4歳~10歳ぐらい(体重15㎏~36㎏・身長は135㎝以下) | シートの座面に置いて座高を底上げする学童用 |
チャイルドシートの安全基準
チャイルドシートは子どもの安全を守る重要なアイテムです。ですから、きちんと規格に適合したものでなければ意味がありません。そこで、国土交通省が一定の基準で審査をし、合格したものに「Eマーク」が貼付されることになっています。この基準は欧州で定められた非常に厳しい内容のもので、国際基準として多くの国が採用しています。「Eマーク」には認可した国番号・チャイルドシートの種類と対象年齢・当該装置番号などが表示されています。2012年6月30日以前は日本独自の基準で審査していて、認可されたチャイルドシートには「自マーク」がつけられていました。中には、こういった規格を通っていない商品も、販売されていることがあるようなので注意が必要です。
国土交通省では、チャイルドシートのアセスメントを実施しています。これは、前面衝突試験と信用性評価試験で、優・良・普通・推奨せずの4段階評価や5点満点の点数評価(小数点以下1位まで)で示して公表をしています。その内容は単に評価をしているだけではなく、試験結果を細かく分析してわかりやすく解説しているので、購入の際には参考になるでしょう。また、チャイルドシートは自動車と同様に、不具合があった場合にはリコールの対象になります。この情報も公表されているので、いつでも確認をすることができます。
自治体が行う様々な補助制度
チャイルドシートは高額な商品です。ジュニアシートなら2千円前後からありますが、ベビーシートやチャイルドシートは2万円ぐらいからで、高いものですと10万円程度するものも珍しくありません。とくにベビーシートは1年程度しか使用しませんから、かなり大きな家計の負担になってしまいます。しかし、子どもの安全のためには必要ですし、法律でも使用が義務付けられています。ですから、レンタルショップで借りたり知り合いから譲ってもらったりする人も少なくありません。
子育て支援や交通事故防止の観点から、各地の自治体ではチャイルドシートの普及に力を入れるため、様々な補助制度を設けているところが増えてきました。補助の方法は大きく分けて3種類あります。1つ目は購入資金の援助です。2つ目にチャイルドシートの貸し出しです。3つ目に不要になったチャイルドシートを回収し、それを譲渡するというやり方です。
【各自治体の補助制度】
3種類の補助方法 |
【1】購入資金の援助 |
【2】チャイルドシートの貸し出し |
【3】不要になったチャイルドシートの回収、譲渡 |
補助制度はおおむね市区町村単位で行われています。補助金が出るところでも細かな条件が付いていることがありますし、貸し出しは期限を設けていたり有料であったりする場合があります。また、リサイクルが行われているところを知らせ、詳細はそちらに問い合わせなければならないこともあるのです。補助制度は地域の実情に合わせて千差万別ですから、住んでいる自治体のホームページなどで確認しましょう。
(最終更新日:2019.10.05)