「所有」から「シェア」へ。モノを持たないミニマムライフ最前線【Vol.2】 リアルなカーライフを支えるシェアサービス

モノは「所有する」から「他の人とシェアする」変革するライフスタイルの最前線を探ります。2回目は駐車場。ドライブの目的地で駐車場が満車とはよくありがちな話。そんな満車問題をシェアで解消します。

空いている駐車場をシェアできるサービス「akippa(アキッパ)」

「今夜のコンサート会場は郊外の大型施設。帰宅を考えれば車で行きたいけれど、周辺の駐車場は当然争奪戦。どうしたものか……」

と悩んだことはないですか? そんなとき、akippa(アキッパ)が便利です。

akippaとは、空いている駐車場をシェアできるサービス。使用されていない駐車場を、スマホのアプリやPCを介して、駐車場を探している人に提供するというものです。近頃は若年層の車離れの影響で、月極駐車場や、アパートやマンションなどの集合住宅、戸建て住宅でも空いている遊休駐車場は約3,000万台分もあるといわれています。akippaではそうした駐車場を2万カ所以上登録。駐車場を探している会員に、最短15分からの時間単位、または終日で利用できます。

使用するのは、オーナーとユーザーがそれぞれ会員登録をし、ユーザーは利用したい駐車場を検索して、利用可能な時間と金額を確認し、予約を入れてオンライン決済するだけ。互いに接見することなく、支払の手間もなくスムーズに利用できるというものです。

akippaのサービスの仕組み。カート決済やキャリア決済で利用前に支払いを済ませるため、オーナーは利用料徴収の手間や不安がなく、ユーザーにとっては現地決済の手間が省ける。

市場価格より格安の料金設定&登録料無料のからくりは?

「コンサートは終わる時間によって帰りの電車の時間が気になるので車で出かけたい。しかし、コンサート会場近くの駐車場は料金が高い上に、止められるのかどうか、現地に行かないとわからない。車を止めるために、予定より数時間も早く出かけるのも負担です。そんなときにakippaなら、最大30日前からネットで予約が出来ます。住宅街であることも多いですが、無人の駐車場に止めるよりも安心です」

とはこのサービスを何度も利用している方の話。人気も上々です。

また料金についても安価という声も多く聞かれます。

筆者も大阪駅周辺で検索してみると表示された件数は76件。しかも大阪駅から徒歩5分の駐車場が1日999円から利用できるというから驚きです。利用するための登録料も必要ありません。

スマホで利用したい場所や施設を選んで検索すると、利用可能な駐車場がひとめで見られる。写真は「大阪駅」で検索した結果。

この格安の料金設定と登録料無料を可能にしたのは、個人宅や商業ビルなどの使われていない駐車場を活用しているサービスだからです。しかも料金は、その周囲のコインパーキングを目安にし、それよりも安価に設定されていることが多いのだと言います。

最近では、車を利用しない訪日外国人旅行者の増加により、都市部のホテルの駐車場にも空きが多くなってきており、登録が増えてきているそうです。

akippaの駐車場。オーナー登録を済ませ、個人宅の空き駐車場に目印となるコーンやのぼりを立てるだけで貸し出すことが可能になる。

気軽に始められる副業。ひと月に2万円以上稼ぐ人も!

では、自宅の駐車場をakippaで貸し出した場合、良いビジネスになり得るのでしょうか。

「弊社では駐車場代の50%を報酬としてオーナーさんにお支払いしていますが、地域や立地により収益にはかなり違いがあります。高めの例になりますが、甲子園周辺で、2車室を24時間貸し出しで月額7~8万円、東京ドーム周辺で月額2~3万円の収益を上げているオーナーさんもいらっしゃいます」(広報:石川絢子さん)

つまり、自宅に空き駐車場や、駐車場が空いている時間が決まっている場合、akippaにオーナー登録するだけで副収入を得ることができるのです。しかもトラブルの心配もいらないといいます。

「akippaの場合、オーナーさんもユーザーさんも会員登録しているため、身元は明確。不特定多数の人が利用する一般的なコインパーキングとは異なり、マナーを守っての利用となるため、ほとんどトラブルは発生していないのが現状です。また、利用時間をオーバーしてしまう場合や、駐車場が見つからないといったときは24時間体制でサポートデスクが対応いたしますので、その点においても安心して利用していただけると思っています」(広報:石川絢子さん)

シェアゲートの開発で拠点拡大の予感

さらに、5月には新サービスも発表されました。それがシェアゲートです。

商業施設でよく見かけるゲート式駐車場。新サービスのスタートで開閉が可能になったことで、akippaでも利用できるようになる。

「当社のサービスの場合、これまではゲート式駐車場の利用が難しかったのですが、シェアゲートを開発することで、ゲートの開閉を可能にしました。アプリから発行される暗証番号を駐車場出入り口の機械にあるテンキーに入力いただくだけでゲートの開閉ができるようになりました。この新サービスの導入により、拠点数を飛躍的に拡大することが可能になったと考えています。また、年内にはBluetoothも対応予定です。」(広報:石川絢子さん)

拠点数が増えれば、ユーザーにとっての利便性も高まります。

現在(2018年8月時点)、akippaは2万拠点を超え、会員登録数は75万人を突破したと言います。

「今後は、いかにして『駐車場の事前予約』という意識をいかに高めていくかが課題となっております。ホテルやレストランと違って、まだまだ駐車場を事前予約するという意識がある方は少ないのが現実ですから……。また将来的には、駐車場のシェアだけでなくカーシェアリングや自動運転自動車などを統合させた『モビリティのプラットフォーム』を目指して行きたいと考えております」(広報:石川絢子さん)

車種は選び放題、運転は自動車にお任せ、駐車場は事前予約でらくらく利用。そんな安心安全で快適な車社会は、もうすぐ目の前まで来ているのかもしれません。

地域によって駐車場の事前予約が浸透するにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、観光地やイベント会場、首都圏の人気スポットなどに出かけるときは利用価値大です。

シェアリングは災害時にも役立つ

 今回の取材の最中、6月の大阪北部地震や7月の西日本豪雨の発生を受けて、akippaでは避難所周辺の駐車場を、期間限定ながら1日10円で提供。被災地の支援を行いました。観光だけでなく、災害時にも迅速かつ柔軟な対応を可能にすることで、シェアリングの可能性を広げていこうとしています。

取材協力:akippa

(最終更新日:2019.10.05)
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