さくら事務所が不動産事業者を対象とした「長嶋修が読む!買取再販セミナー」を開催!

不動産業界で注目されている業態の一つ「買取再販」。既存住宅を買い取り、リフォームを行った物件を販売する事業形態のことですが、仕入れ競争が過熱する中、参入している「買取再販業者」はいかに活路を見出すか、試行錯誤を重ねているようです。

そうした状況を背景に、さくら事務所が買取再販セミナーを開催。不動産コンサルタント・長嶋修さんによる「買取再販のこれから」と、物件を見極めるために欠かせない「ホームインスペクションの実際と不具合事例」のレクチャーも行われました。

「買取再販物件」を購入するなら、どんなことに気を付ければいいの?

株式会社さくら事務所の創業者・会長であり、不動産コンサルタントの長嶋修さん

今回のセミナーは「買取再販業者」を対象として開催されましたが、リノベーション済みの中古物件を購入予定の人にとっても、大変興味深い内容です。特に、ここ数年はリノベーションに対する意識が高まり、買取再販業者も急増していると長嶋さんは言います。

長嶋さん:
買取再販業者は急増しているものの、そのほとんどがマンションで、一戸建てはまだまだ少ない現状があります。木造住宅の法定耐用年数は22年。築25年程度の木造一戸建ては建物の価値が価格に含まれず、ほぼ土地値で購入できるため、状態のよい物件を購入すれば割安な買い物ができることから注目を集めています。

しかし、中古住宅は多かれ少なかれ、経年劣化しているもの。素人には欠陥の有無を判断できません。また、「いつ、どの程度の改修が必要なのか」という不安もあるでしょう。

長嶋さん:
経済学で言う「レモン市場の理論」ですね。買い手が商品の質を見極めることができないため「不良品」ばかりが出回り、質の高い住宅が流通しにくい現状がありました。そうした事態を改善するため、改正宅建業法を施行。2018年4月から、住宅を売買する際にはホームインスペクション(建物状況調査)の説明が義務化されています。
現在、日本全国で6,000万戸以上の中古住宅があると言われていますが、約2割は何も手を入れなくても安心して住むことができますし、ほとんどの中古住宅はちょっとした手直しをすれば問題ありません。見極めるに、ホームインスペクションの利用をお勧めしています。5~7万円程度の費用が掛かりますが、その手間で安心して、割安な住宅を購入できるのですから、利用する価値はあるのではないでしょうか?

こうしたお話から、中古住宅の品質を見極めることさえできれば、割安な価格で購入して長く住み続けることができると分かります。

長嶋さん:
日本の住宅の寿命は短い印象を持っているかもしれませんが、勘違いしている方も多いと思います。「住宅の寿命は30年程度」と言われるのは、取り壊された建物の平均築年数から広まった話で、残存している建物については考慮されていません。
早稲田大学の教授が中心となって行った「建築寿命に関する研究」によれば、木造住宅の平均寿命は64年(※参照元:資料3-2 建物の耐用年数と寿命)であるとしています。きちんと設計・施工された住宅であれば、メンテナンス次第で100年以上住み続けることもできます。

ただし、リノベーション済みの中古住宅を購入するにあたり、一戸建てに詳しい事業者はまだ少ない現状があるとのこと。

長嶋さん:
リノベーション済みの一戸建てを購入する前に、事業者の実績を確認しましょう。今まで何軒程度、中古住宅のリノベーションを手掛けてきたのか、聞いてみて下さい。雨漏りや水漏れの跡があっても、正しい対応をすれば問題なく住むことができます。そうした判断ができる事業者を選びましょう。

買取再販事業を積極的に行う事業者はまだまだ少数派

代表取締役社長・大西さんの話に耳を傾けるのは、買取再販に興味を持つ不動産事業者

セミナーは、代表取締役社長・大西さんのご挨拶から始まりました。

当日集まった不動産業者の方々に、買取再販事業を積極的に行っているか、会場内で問いかけたところ、挙手したのはわずかに数名。「これから注力したい」という業者が大半でした。興味があるものの、買取再販事業に積極的になれない理由としては「急いで中古物件を仕入れたら不具合が見つかったものの、対処できない」「リノベーション済み物件の購入者から『不具合が見つかった』と苦情を受けトラブルになっている」といったリスクが原因のようです。

中古物件を取り扱うにあたり、どんなことに気を付けたら良いのでしょうか?

過熱しつつある、買取再販市場の今後は?

「ほとんどの中古住宅は、事前にちょっと手を加えるだけで問題なく利用できる」と話す長嶋さん

ここからは、長嶋修さんによる買取再販市場についての解説が始まりました。近年は、新築マンションの価格が、手が届かないほどに高騰しています。郊外のタワーマンションも高値で売買されている現状下、「中古マンションを抑えた価格で購入し、リノベーションして住む」選択をする人が増加。国も「2025年までにリフォームと既存住宅の市場を2倍にする」という目標を掲げています。

買取再販に着手する業者も、そうした背景から増加の一途を辿っています。買取再販業者にとっては、今まで6~7掛けで仕入れることができた物件が、8~9掛けでもなかなか購入できない事態となるほどに、買取再販市場は加熱。中でもマンションは、RC造の構造はそのままに、専有部のみ手を加えればよいため、多くの業者が参入しているとのこと。

一方で一戸建ては、構造や地盤の状態、雨漏りなどの状態もチェックが必要で、物件の状態を判断する力が求められます。例えば建物基礎のひび割れを見つけたら「原因は何なのか」を推測。地盤沈下の場合は今以上に沈下する可能性があるのか、構造上問題はないかチェックします。雨漏りのようなシミを見つけたら、修繕の必要があるのか確認。いずれも、客観的な視点で判断し、それを購入者にきちんと説明すれば、ほとんどの人が購入を決めるそうです。ホームインスペクションを利用することで、プロのアドバイスを仰ぐことができます。

ARUHI 買取再販ローンの商品内容と特徴とは?

アルヒ株式会社の社員が買取再販ローンの特徴を解説

今回のセミナーでは、アルヒ株式会社による買取再販ローンのご紹介も行いました。買取再販ローンは「仕入資金とリフォーム費用を一括で融資できる」「耐用年数をオーバーした物件など築古物件も取り扱いが可能」「無担保も選択できる」「融資保険が付保されるため保証人が不要」といった特徴があることや、これまでの利用状況、審査のポイントや担保評価、実際に活用事例にまで話が及びました。

●ARUHI 買取再販ローンについての詳しい説明はこちら>

インスペクションの実際と不具合事例

ホームインスペクターの田村啓さんが、ホームインスペクションで見つかった様々な事例と解決方法を紹介

中古住宅を購入するにあたり、木造一戸建てはマンションと比べてたくさんのチェックポイントがあります。しかし、「ポイントさえ押さえれば怖がる必要ない」と言います。ホームインスペクターの田村啓さんによると、買取再販物件に関する問い合わせのベスト3は、以下の通り。

第1位:仕上がりが悪い
第2位:床鳴り・建具の建付け
第3位:雨漏り・水漏れ・建物の傾き

「仕上がりが悪い」は雑に貼ったクロスや床の不陸を指すことが多く、状況を理解してきちんと説明ができればトラブルにならずに済んだ事例ばかり。

「床鳴り・建具の建付け」に関しては、新築同様とはいかないことを周知することが大切です。「雨漏り・水漏れ・建物の傾き」には要注意。雨漏りは原因を特定して早めに対処することが大切です。水漏れは配水管の不備により新築物件でも起こりえますし、水と酸素があればシロアリ発生のリスクが生じるため、床下に潜って基礎から確認したいところです。建物の傾きは、垂直精度をオートレーザーという機械で調査。1000分の6以上の著しい傾斜でなければ問題はないと考えられますが、傾斜の原因を把握し、構造に問題がないのか見極める必要があります。場合によっては1,000万円近くのリフォーム費用が掛かるケースもあるため、中古物件を購入する前に状況を把握することが大切です。

不動産業者向け営業支援プラットフォーム「FUDO Biz」をスタート

質疑応答では、さくら事務所の教えを請いたいという不動産業者の声が多く寄せられた

最後の質疑応答では「さくら事務所さんお勧めのリフォーム会社が知りたい」「さくら事務所さんがリフォームまで対応してくれたらいいのに」といった声が相次ぎました。しかし「それをやってしまったら、今度はさくら事務所をチェックする第三者機関が必要になるのでは?」と長嶋さん。さくら事務所は中立的な立場を守るため、ホームインスペクションに特化し、直接工事やリフォーム会社の紹介は行っていないそうです。

その代わり、同じような悩みを持つ不動産業者が情報交換をする場になればという想いから、不動産業者様向け営業支援プラットフォーム「FUDO Biz」の運用をスタート。不動産に関する経済ニュースの配信や不動産営業支援サービスの提供、インスペクションに関する説明資料や自分でできる建物チェックリストの配信の他、勉強会や情報交換会のお知らせも掲載するとのこと。「買取再販分野は大きな可能性を秘めています。そこで活路を見出すお手伝いを当社ができれば」という長嶋さんの言葉で、セミナーは締めくくられました。

▼詳しくはこちら
不動産業者様向け営業支援プラットフォーム「FUDO Biz」
※会員登録は無料でご利用いただけます

取材協力:さくら事務所

(最終更新日:2019.10.05)
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