梅雨時や蒸し暑い夏はご用心! カビを発生させないお手入れ法と浴室掃除の極意とは?

今年2018年の関東地方は6月中に梅雨明け。しかしその後も、雨は降らないものの、ジメジメとした日々が続きます。こんな時期は家屋のカビが気になります。特に浴室のカビ対策は悩ましい。そこで、お掃除のプロ、ダスキンの訪販グループ運営本部カレッジ担当・岡井俊一郎さんに、浴室のカビ対策と賢い掃除のコツについて教えてもらいました。

カビが繁殖しやすい条件を揃えない!

――梅雨でなくとも夏場は家の中のカビが気になってしまいます。最初に、カビ対策の基本について教えていただけますか?

岡井さん:カビが発生しやすい条件は、「温度」「湿度」「栄養」「酸素」の4つ。ですから、この4条件が揃わないようにすることがカビ対策の基本となります。

【カビが生えやすい条件】

温度 カビは高い温度が好き。生えやすい温度は20~30℃。気温が高い夏場はカビにとっては繁殖しやすい季節です
湿度 カビはジメジメが好き。浴室など、湿度が高いほど発生しやすくなります
栄養 カビは貪欲。人のアカなどの汚ればかりか、石鹸や洗剤の残りカスもカビの栄養になります
酸素 カビはしぶとい。わずかな酸素で生息・繁殖することができます

岡井さん:具体的な対策としては、「酸素」は取り除くことはできませんので、まずは“乾燥”を心掛けることが大切です。浴室を使用した後は、換気扇を運転し、湯船にはお湯を残さないようにする。お湯を残すときは必ず蓋をするようにしましょう。

また、カビの栄養源となる、石鹸カスやアカなどを残さないよう、こまめに掃除をすること。特にシャンプーやボディソープのボトルの底や、バスチェアの足元などは、汚れが残りやすいので忘れずに。浴室を出る前に、全体的にお湯をかけて汚れを流すこともオススメです。

さらに、最後に浴室全体に水をかけ、「温度」を下げること。それだけで、かなりカビの発生を抑えられます。

――汚れのないところにもカビは発生するのでしょうか?

岡井さん:カビの多くは、栄養分となる汚れが付着し、そこに発生します。カビが発生した直後、下の図の2の段階であれば、通常の洗剤で汚れを取れば一緒にカビも除去できます。ただし、目に見えませんがカビの菌が残ってしまうこともあるので、抗菌効果のある洗剤を使用するか、お掃除の後にアルコール除菌剤で除菌するのもいいですよ。

<カビの特性>

浴室に残った汚れ(1)にカビが発生(2)。そのカビを放置して(3)のように根が生えてしまうとカビを除去するのが難しくなる。

カビを見つけたら、即掃除が鉄則!

――カビは放っておくと根が深くなり、除去するのが難しいとのことですが……。

岡井さん:そうです、カビの根が生えてしまうと、掃除をしても色素が残ってしまうことがあります。ですから、見つけたらすぐに掃除をするのが鉄則です。掃除の手順は次のとおりです。

(1)中性洗剤で浴室全体の汚れを洗い流す。
(2)カビが生えている部分にカビ取り剤を塗付する。
(3)5~10分ほど時間を置き、しっかりと洗い流す。
(4)しっかりと乾燥させる。

――カビが発生したからといって、いきなりカビ取り剤を使うのではなく、まずは浴室用の中性洗剤でお掃除をすれば大丈夫なのですね。

岡井さん:生えてから間もないカビなら、その部分を中性洗剤でこするだけでキレイにできるケースがほとんどです。

カビ取り剤はこよりティッシュの湿布で洗浄力アップ!

――かび取り剤を使って掃除をするときのコツを教えてください。

岡井さん:カビ取り剤は、カビに塗布したあとティッシュペーパーをねじった“こより”で湿布をすると、薬剤の乾燥を防ぎ、汚れ落ちしないのでカビに浸透して洗浄力をアップさせることができます。

左写真/カビが生えている場所にカビ取り剤を塗布。右写真/こよりで湿布。

――カビ取り剤を使用する場合も注意することはありますか?

岡井さん:カビ取り剤には塩素系の洗剤が多く、「酸性タイプのモノ」と「塩素系のモノ」が混ざると、有毒な塩素ガスが発生するので、絶対に他の洗浄剤と混ぜない、混ざらないように使うことが大切です。極力使う量を少なくするためにも、取れないカビにだけ使用する方がいいでしょう。

また、「エコ掃除」としてお酢を使用している方もいらっしゃると思いますが、お酢も酸性ですので、混ざると危険です。使用は充分に注意してください。

【カビ取り剤を使用するときの注意点】

他の洗浄剤と混ざらないようにする
換気扇を運転してから使用する。※カビ取り剤は密室での使用は危険
手肌を守る。※ゴム手袋、ゴーグル(メガネ)、マスク、バスブーツなどを着用してください
目線より高いところにスプレーしない。※目線より高いところに生えたカビには、化学繊維のハケを使うのがオススメです

――エコ掃除というのは、どんな掃除方法ですか?

岡井さん:合成洗剤を使わず、お酢(クエン酸)や重曹などを使った掃除方法です。手肌が弱く合成洗剤のような強い洗剤を使うと肌荒れをおこしてしまう人や、ペットや赤ちゃんの健康が気になるお客さまからのご要望を受けて、10年ほど前から当社でもサービスプランのひとつとして提供しています。

――エコ掃除で、カビ対策もできるのですか?

岡井さん:カビが生えてしまった場合、エコ掃除だけでカビを除去するのは難しいです。しかし、まだカビが発生していない場合は、日々こまめにエコ掃除をすることでカビの発生を防ぐことはできます。

――最後に、カビの発生を見落としがちな場所はありますか?

岡井さん:汚れや湿度は浴室の低いところに溜まりやすいので、カビも生えやすいといえます。排水口の内側や扉の下、ユニットバスの浴槽の外側についているカバー、エプロンの中のカビも見落とさないようにしてください。

――エプロンの中まで? それはチェックしていませんでした。気を付けます。

カビは掃除より予防が大切。市販の防カビ商品も手助けに!

いかがだったでしょうか? カビは生える前の予防が肝心。一度カビが生えると、原因菌が浴室中に飛散して、目に見えるカビを掃除するだけでは対処できません。そのため繰り返しカビが生えてくるようになってしまいます。また浴室内に浮遊するカビ菌が天井に付着。そこから降ってくるケースもあるというから、甘く見てはいけません。

最近は、カビの発生を予防できる市販のくん煙材も発売されているので、2ヶ月に1度使用するだけで、浴室内の隅々までカビを防止することができます。日々の手入れを併用すれば、いままで以上に簡単・確実にカビ対策ができるはず。ぜひ試してみてください。

(最終更新日:2019.10.05)
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