人の役に立つ大型犬
「犬」といってもさまざまな犬種があり、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)には約200種が登録されています。犬種によって見た目やサイズも異なり、好みがわかれるところです。近年では、チワワをはじめとした小型犬の人気が高まっていますが、それほど広くない住居でも飼いやすいことが一因だと考えられます。しかし、存在感のある大型犬に魅了される人は少なくありません。
愛犬家を対象にした「好きな犬種ランキング」を見ても、ベスト10圏内に大型犬がランクインしています。例えば、アイリスオーヤマの運営する、ペット専門サイト「アイリスペットどっとコム」が2017年に行った調査では、同率8位にゴールデン・レトリーバーとラブラドール・レトリーバーがランクインしました。
このように、大型犬が愛される理由としては、その賢さが挙げられるでしょう。狩猟などのお供として活躍してきた歴史があり、現在も使役犬として人間の生活をサポートしています。
たとえば、日本警察犬協会の指定犬種に選ばれているドーベルマンやジャーマン・シェパード・ドッグは、かつては軍用犬としても活躍していました。攻守ともに能力が高いだけでなく、飼い主に忠実な性格を持ち、服従訓練のしやすさも評価されています。
ペットとしても人気が高い、ラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーは、盲導犬に向いている犬種。大きい体は人混みの中でも安全に誘導しやすく、体力がありながら周囲に威圧感を与えないやわらかな表情もポイントといえるでしょう。
このように、昔から人の生活に役立ってきた大型犬は、ペットとしても頼もしい存在です。
ドッグスポーツを楽しもう!
大型犬といえば、その高い身体能力も魅力のひとつ。なかでも、イングリッシュ・グレイハウンドは最速の脚力を持つといわれ、その時速は70kmにもなるのだとか。海外ではドッグレースで活躍し、迫力がありながらもしなやかに走る姿は、見る人を魅了します。
レトリーバー種は泳ぎが得意。その被毛には撥水力があり、水辺での狩猟でも活躍してきました。スタンダード・プードルも、そのキュートなルックスからは想像できないほど華麗に泳ぎます。元々、カモ狩りに用いられていたこともあって、じつは泳ぎが大得意。頭や足元に毛を残した特徴的なカットは、泳ぎやすさと保温性を考慮して生まれたといわれています。
ボーダー・コリーは中型犬に分類されることが多いですが、大型犬並みのサイズに成長することもしばしば。牧羊犬として活躍するほど判断力や学習能力が高く、ディスクドッグやアジリティなどの競技でその実力を発揮しています。
愛犬とドッグスポーツを行うことで、きずながより深まるはず。ともに運動する喜びを実感しやすいところも、大型犬と暮らす醍醐味といえるでしょう。
大型犬と暮らす注意点
運動
大型犬は運動量が多いため、毎日の散歩が欠かせないことはいうまでもありません。しかも、1日2回、1時間前後という長い時間を要します。これは大変かと思うかもしれませんが、つねに走る必要はありません。ゆっくりと歩きながら、ともに過ごす時間を楽しみましょう。運動不足になりがちな現代人にとって、健康面でも役に立ってくれそうです。
場所
飼育するには、広々とした住居や庭が必要となります。狭い場所ではストレスを感じてしまうため、迎えようと思う場合は住み替えを考えなくてはいけないこともあるでしょう。
食事
食事量も、小型犬に比べれば多くなります。ドッグフードの種類にもよりますが、チワワとレトリーバー種では、1回に与える量が10倍以上に及ぶことも。それだけ飼育費がかかりますが、おいしそうに食べる姿は気持ちがよく、小型犬には得られないダイナミックさを味わえます。
性格
人懐っこい性格の犬でも、大型犬は力の強さに気を付けなくてはなりません。興奮してリードを強く引っ張られると、大人の男性でも転倒する可能性があります。小さいころから引っ張り癖をつけないトレーニングをしておきましょう。人間に跳びかからないように訓練することも大事です。
大型犬は体の大きさから怖いと思われがちですが、飼い主に従順で気がやさしい犬種が多いもの。きちんとしつけをすれば、小さな子どもとも仲良く暮らせます。おおらかさと迫力をあわせもつ大型犬は、犬本来の魅力が満載。迎え入れるための環境を整えて、その醍醐味をたっぷり味わってほしいものです。
(最終更新日:2019.10.05)