一戸建ての防犯対策。狙われにくい物件選びと防犯強化ポイント

家族みんなが幸せに暮らしていくためにも、「防犯対策」はしっかりしておきたいものです。特に“一戸建て”は注意が必要。複数人が暮らすマンションなどの“集合住宅”と比べると監視の目が少なく、セキュリティも自己責任のため、泥棒につけ込まれる隙が生まれやすいといわれています。そこで今回は、一戸建ての防犯対策について、ARUHIマガジン編集部が調べてみました。

防犯対策の必要性

家人の留守を狙っての「空き巣」や、夜間に家人の隙をついて行う「忍び込み」など、住宅における侵入窃盗はいつまでたってもなくなりません。しかも、年々手口も巧妙となり、熟練の泥棒に掛かれば、侵入から窃盗、逃亡まで、ほんの数分で完了してしまいます。

たとえ専門業者にセキュリティ管理をしてもらっていても、侵入を察知して現地に到着するまでの間に逃げられてしまう場合もあるのです。だからこそ、家庭での防犯対策は必須。まずは、「立地」や「敷地レイアウト」の観点から、狙われにくい物件選びのポイントを押さえていきましょう。

狙われにくい物件選びのポイント1:立地

泥棒は窃盗に入る前に必ず、ターゲットとする住宅を念入りに下見します。つまり、下見しやすい立地にあると、泥棒の目に留まりやすいといえます。泥棒は、公園や駐車場、コンビニなど、不特定多数の人が自由に出入りして不自然のない公共の場や商店などから周辺の住居をチェックします。これらが家の前や裏にあったり、隣接していたりする物件は要注意。また、高い建物に囲まれた袋小路にある家も、死角が多くなるため泥棒に狙われやすくなるといえそうです。

狙われにくい物件選びのポイント2:敷地レイアウト

敷地レイアウトによっても、泥棒に狙われやすいかどうかが左右されてきます。敷地レイアウトは大きく分けて3つあります。

【1】前面道路に敷地の一辺が接している「前面道路タイプ」
【2】路地の奥に敷地があり、前面道路とは路地でつながっている「路地タイプ」
【3】角地にあり、敷地の2辺が道路に接している「角地タイプ」

この中でもっとも狙われやすいとされているのは、「角地タイプ」。敷地の2辺が道路に接しているため多くの角度から家を下見することができ、さらに、侵入経路や逃亡経路も確保しやすいのです。

続いて、道路に接している面積の多い順に「前面道路タイプ」「路地タイプ」の順になりますが、「路地タイプ」は奥まった場所に家があるため、一度侵入してしまえば外部の目が届きにくく、犯行が進めやすいという側面も。いずれのタイプであっても、しっかりとした防犯対策は必要といえるでしょう。

防犯アイテム、グッズを取り入れよう

防犯意識の高まりから、様々な防犯アイテムが登場しています。ホームセンターや通販などで手軽に購入できるものから専門業者に設置してもらう本格的なものまで選択肢は幅広く、用途や予算に応じて選ぶことができます。一戸建てで特に防犯を強化したいポイントに合わせて、おすすめの防犯アイテム&グッズなどを紹介します。

一戸建てで特に防犯を強化したいポイント1:玄関、玄関まわり

「玄関から堂々と入ってくる泥棒なんているの?」と思われるかもしれませんが、実は主な侵入経路のひとつ。玄関ドアのシリンダー錠の鍵穴に特殊な工具を差し込むと簡単に開錠でき、ものの数十秒で侵入されてしまいます。これは「ピッキング犯罪」と呼ばれるもので、年々増えているそう。

これを防ぐため、最近はピッキング防止の鍵を採用したドアが多いですが、より防犯性を高めたいならば、「ワンドア・ツーロック」を心がけましょう。鍵が2つあれば壊すのにも時間がかかるため、泥棒が侵入を諦めやすいのです。中古物件などの古いタイプのドアであれば、ホームセンターなどにある市販の「補助錠」を付けるのもおすすめです。より大きな安心を得たい場合、思い切ってリフォームするのも一案。その際、「インターホンもカメラ付き」のものに変えると、訪問客の顔が確認できるので不審者の侵入を防ぐのに役立ちます。

一戸建てで特に防犯を強化したいポイント2:外構

庭や塀、カーポートなどの外構は、家全体の印象にも影響してくるためオシャレにこだわりたいところ。しかし、防犯の観点から考えると、「侵入しにくい」ことが最も肝心。高い塀や、植栽が生い茂った庭のせいで外からの見通しが悪くなり、泥棒に侵入されやすくなってしまいます。塀は高すぎないもの、格子状でほどよく中の様子が分かるものを選びましょう。植栽も、生い茂って死角を作らないよう、きちんと剪定しましょう。また、物置やカーポート、エアコンの室外機などが足場となって2階から侵入されることもあります。これらを設置する際は、敷地のレイアウトや家の造りをしっかり考えましょう。

また、侵入してきた泥棒を追い返すには「音と光」が効果的。こっそり侵入しようとしている泥棒は、自分の存在を知らせる音や光が苦手です。家の周辺に「防犯砂利」を敷いたり、侵入者を感知する「センサーライト」「警報ブザー」を裏手や勝手口付近に設置したりするとよいでしょう。

一戸建てで特に防犯を強化したいポイント3:窓、ベランダ

最も侵入されるケースが多いとされる「窓」。特に1階の掃き出し窓は出入りしやすいため、しっかりとした防犯対策が必要です。一般的な窓はもちろん、やや強度の高い複層ガラスであっても、プロの泥棒の手に掛かれば簡単に破られてしまうことがあります。市販の「防犯フィルム」を取り付ける」、「防犯ガラスにリフォームする」など対策をとりましょう。さらに、窓の上下どちらかに「補助錠」を付けると、侵入に手間のかかる“泥棒が苦手な窓”になるのでおすすめです。

また、トイレや浴室の小窓など、小さなものであっても侵入される可能性があります。不在時はきちんと施錠し、さらに頑丈な「面格子」を取り付けることで防犯性を高めることができます。

2階は侵入しづらいと考え思いがちですが、雨樋などをつたってベランダや窓に到達することは可能です。1階と同様、「防犯フィルム」などの対策をきちんととっておきましょう。またベランダのフェンスは、格子状や半透明のものなど、内側の様子が分かるタイプがおすすめです。

最後の要はあなたの防犯意識!

侵入経路や家の周りにしっかり防犯対策を行っても、「うっかり施錠し忘れちゃった」では元も子もありません。現に警視庁の調べによると、平成29年の都内の住宅対象窃盗の侵入手段(※警視庁:平成29年中の侵入窃盗の傾向より)は、空き巣では3割以上、忍び込みでは8割近くが無施錠の玄関や窓からの侵入であったことが判明しています。

最後に家を守るのは、そこで暮らすあなた自身。戸締まりは防犯の基本です。ゴミ出しやコンビニへの買い出し、外周りの掃除など、ほんの数分の外出であっても、必ず戸締まりしましょう。

また、ご近所や友人など、ほんのちょっとの立ち話のつもりが、つい長々とおしゃべりしてしまうケースもよくあります。要件だけ伝えて短時間で切り上げる、いったん施錠をしに戻るようにするなど、常に家の状態を気にかけて行動しましょう。

まとめ

“泥棒に狙われない一戸建て”にするためには、周辺環境を整え、死角や施錠忘れといった「忍び込む隙」を作らないことが大切です。今回紹介した防犯アイテムや防犯強化のポイントなどを取り入れながら、泥棒が近づきにくい家を実現しましょう。何より、「明日は我が身」と肝に銘じ、家族一人ひとりが油断することなく、しっかり防犯を意識して生活しましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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