住宅を購入するときには、補助金や減税などの優遇措置を受けられる場合があります。しかし、“我が家の場合に”受けられる制度がわかりにくいことも。今回は、住宅購入時に受けられる優遇制度についてまとめてみました。
住宅購入時に受けられる補助金制度
まずは、補助金制度を確認してみましょう。購入する住宅のタイプや購入者の収入等の条件によって、利用できる制度は違ってきます。たとえば、消費税引き上げ後の消費税率が適用される住宅を取得する場合、引き上げによる負担を軽減するために設けられた「すまい給付金」は、収入が一定以下でなければ受けられず、収入によって給付金額も違います。また、地方自治体の補助金制度は、対象や条件もさまざまなので、お住まいの地域の自治体のホームページや窓口、検索サイトなどで早めに確認しておきましょう。
【住宅購入時に受けられる補助金制度一覧】
補助金制度(購入時) | 助成額 | 対象 | おもな条件など |
すまい給付金 | 最高30万円(消費税率8%時は収入額の目安が510万円以下の方を対象に最大30万円を給付する) | 新築・中古 | 収入が一定以下 |
床面積50平米以上 | |||
引き上げ後の消費税が適用されること 等 | |||
地域型住宅グリーン化事業 | 最高110万円+α(ゼロ・エネルギー住宅は140万円+α) ※地域材の使用で20万円、3世代同居でプラス30万円加算 |
新築(登録事業者で建築する場合のみ対象) | 認定長期優良住宅 |
認定低炭素住宅 | |||
性能向上計画認定住宅 | |||
ゼロ・エネルギー住宅(改修も対象) 等 | |||
ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業 | ZEH+:115万円+蓄電システム補助が最大45万円 ZEH:70万円蓄電システム補助が最大30万円 |
新築・中古(SIIに登録されたZEHビルダーやプランナーが建築・改修する場合のみ対象) | ZEHの基準を満たしていること |
ZEH+は上記に加えて 【1】25%以上エネルギー消費削減 【2】以下のうち2つを導入 ・さらなる高断熱 ・高度エネルギーマネジメント ・電気自動車の充電設備 |
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自治体のリフォーム向け補助金制度 | 利子補給制度や助成金制度など、自治体・対象によって異なる(地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイトで確認できる) | リフォーム | 自治体・対象によって異なる |
住宅取得資金の贈与を受けた場合の特例
住宅取得資金を親等から贈与された場合には、一定額まで贈与税が非課税になる制度があります。また、相続時精算課税制度を用いて住宅取得資金の贈与を受けた場合は、贈与者(父母や祖父母)の年齢制限がなくなります。
【住宅取得資金の贈与を受けた場合の特例 優遇内容とおもな要件】
制度 | 優遇内容 | おもな要件 |
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 (2021年12月31日までの贈与) |
下記の非課税限度額までの贈与には贈与税がかからない(2020年3月31日まで) ・省エネ等住宅:1,200万円 ・上記以外の住宅:700万円 暦年贈与もしくは相続時精算課税制度のどちらかと併用可能 |
贈与者が直系尊属(父母・祖父母であること) |
受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫等)で、贈与を受けた年の所得が2,000万円以下であること | ||
取得した住宅の床面積が50平米以上240平米以下であること | ||
住宅取得等資金に係わる相続時精算課税制度の特例 (2021年12月31日までの贈与) |
相続時精算課税制度による住宅取得資金の贈与は、贈与者の年齢制限がなくなる | 贈与者が直系尊属(父母・祖父母であること) |
受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫等) | ||
住宅取得:床面積が50平米以上 | ||
住宅の増築:工事費用100万円以上かつ増築後の床面積50平米以上 |
住宅ローン【フラット35】の優遇制度
全期間固定金利型の住宅ローン【フラット35】では、返済期間が短い場合や、一定の基準以上の住宅を購入・リフォームした場合になどに、金利が優遇される制度があります。また、地方公共団体と連携して、有利に【フラット35】が利用できる制度(子育て支援型・地域活性化型)もあります。
その他の民間金融機関の住宅ローンにも、その金融機関との取引状況や一定水準の住宅を購入する場合や子育て世代向けなどで、金利優遇などが受けられる場合もあるので、チェックしてみてください。
【【フラット35】の優遇制度一覧】
名称 | 優遇内容 | 対象 | 概要 |
【フラット35】S | 金利Aプラン:当初10年間0.25%金利引き下げ | 新築・中古 | 【フラット35】Sとは、【フラット35】申込者が、省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得される場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度 |
金利Bプラン:当初5年間0.25%金利引き下げ | |||
【フラット20】 | 例:2018年5月の金利 (融資率9割以下・最も多い金利 21年~35年:年1.350% 20年以下:年1.300%) |
新築・中古 | 20年以下の返済期間にすることで、21年~35年返済よりも低い金利が適用される |
【フラット35】リノベ | 金利Aプラン:当初10年間0.6%金利引き下げ | 中古購入+機能向上リフォーム | 中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う場合、または住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度 |
金利Bプラン:当初5年間0.6%金利引き下げ | |||
【フラット35】子育て支援型・地域活性化型 | 当初5年間0.25%金利引き下げ | 新築・中古 | 子育て支援や地域活性化について、積極的な取り組みを行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、住宅取得に対する地方公共団体による補助金交付などの財政的支援とあわせて、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度 |
(関連記事:【フラット35】の新しい金利優遇制度、「子育て支援型」「地域活性化型」とは)
(関連記事:住宅ローン【フラット35】S、【フラット35】リノベの2017年度の継続実施が決定)
住宅購入時の税金に関する優遇制度
住宅の購入時は不動産取得税や登録免許税、印紙税、消費税といった税金がかかります。ただし、一定の条件を満たすことができれば、優遇制度があります。
<不動産取得税>
不動産を取得した際(売買・交換・贈与・新築・増改築など)に課される地方税です。
不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額)×税率(※1、2)
【不動産取得税の軽減措置】
軽減措置 | 軽減内容 | 対象 | おもな適用要件 |
課税標準の特例 | 課税標準から1,200万円が控除される ※長期優良住宅の場合は1,300万円 | 新築住宅(家屋) | 居住用家屋であること |
床面積50平米(戸建以外の貸家住宅は1戸あたり40平米)以上240平米以下 | |||
一定額(築年数によって異なる)が課税標準額から控除される | 中古住宅(家屋) | 居住用またはセカンドハウスとしての取得 | |
50平米以上240平米以下 | |||
昭和57年1月1日以後に新築されたもの 等 | |||
税額軽減 | 次のいずれか多い額が税額から控除される ・45,000円 ・土地平米1平米あたりの固定資産税評価額×1/2×(住宅の床面積(200平米を限度)×2)×3% |
住宅用地 | 上記の住宅の要件を満たすこと 土地先行取得の場合は ・新築住宅の敷地:土地の取得から3年以内に住宅を新築すること ・中古住宅の敷地:土地の取得から1年以内にその土地の住宅を取得すること |
<登録免許税>
住宅を取得した場合に、所有権の保存登記や移転登記、ローンを借りた金融機関に対する抵当権設定登記等を行う際にかかる国税です。
登録免許税=課税標準※(固定資産税評価額)×税率
【登録免許税の軽減税率の適用を受けるための住宅の要件】
要件 | 用途 | 床面積 | 登記の時期 | |
新築住宅 | 2020年3月31日までの登記の申請 | 自己の居住用 | 50平米以上 | 新築または取得後1年以内 |
中古住宅 | 築後20年(耐火住宅は25年)以内であること 等 |
【登録免許税の税率】
税率(原則) | 自己の居住用家屋の軽減税率 | |
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15%(長期優良住宅0.1%) |
所有権移転登記(売買等) | 2.0%※ | 0.3%(長期優良住宅:戸建て0.2%、マンション0.1%) |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
このように、住宅購入に対しては国や地方自治体でさまざまな補助金制度や減税制度などの優遇措置が設けられています。人生で最も高額な買い物とも言える住宅購入ですから、その金銭的負担がラクになる制度はぜひ、活用したいものです。今後も有利な制度が設定される可能性もあるので、実際に「住宅を購入しよう」と思った時点で、国や自治体のホームページをチェックしたり、住宅メーカーや不動産業者などからも情報を集めたりして、その場所でその時点で利用できる有利な制度を確かめてください。
(最終更新日:2019.10.05)