大小さまざまな企業があるオフィス街で、『東京理科大学』『日本歯科大学』『法政大学』『首都大学東京』といった大学がある学生街で、石畳の路地が残る花街の顔も持ちながら、高台には閑静な住宅街が広がる飯田橋。フランス文化の発信拠点「アンスティチュ・フランセ東京」があることから、多くのフランス人が住んでいるエリアでもあります。そんな飯田橋に学生時代から通い続け、好きが高じてマイホームを購入したKさんのコメントとともに、「将来性」「交通の利便性」「教育・文化環境」「住環境」「コストパフォーマンス」5つの基準で、街の特徴をご紹介します。
飯田橋ってどんな街?
石畳の路地が入り組み、下町情緒を色濃く残す神楽坂の賑わいを感じられるエリア
江戸時代に武家屋敷が軒を連ねていた飯田橋は、その面影を残しつつ、オフィス街や学生街として発展しました。東京23区の中心部に位置し、交通の利便性も抜群。飯田橋駅の西口を出れば、花街として栄えた神楽坂がすぐそこです。路地裏を散策しながらグルメやショッピングを楽しめるのはもちろん、休日はイベント会場に早変わり。元花柳界が主催する「神楽坂をどり」や年に2回の「青空フェスタ」、阿波踊りとほうずき市の「神楽坂まつり」、化け猫フェスティバルやギャルソンレースなどが行われる「神楽坂まち飛びフェスタ」などが開催され、常に賑やかです。下町のような気さくであたたかな雰囲気に触れることができるエリアです。
[街の声]
数あるイベントの中でもお薦めが11月に開催される「ド~ンと福井in神楽坂越前・若狭まつり」。福井県の郷土料理・へしこを使った料理教室に参加出来たり、ワンコインでご当地グルメを食べられたり、「小浜藩酒井大老登城行列」も開催されます。若州小浜藩邸がかつて神楽坂にあった縁で開催されているそうで、毎年楽しみにしています。(飯田橋在住・Kさん)
【将来性】JR飯田橋駅ではホーム移設工事が進行中。2020年に完成予定
飯田橋駅前では再開発事業が進み、2009年には住宅・オフィス・商業施設の複合開発『飯田橋プラーノ』が、2014年には『飯田橋グラン・ブルーム(飯田橋サクラテラス)』が完成。今後は東口に駅前広場ができ、東京メトロ東西線とJRの乗り換えがスムーズになる予定です。
また、JR中央・総武線/飯田橋駅では以前から、電車とホームの間に広い隙間ができることが問題視されてきました。転落事故防止のため、新宿方面に200メートルホームを移設することで隙間を解消することが決まり、現在は工事が進められています。駅舎の建て替えに合わせて、西口でも駅前広場は整備される予定。店舗が入る計画もあり、ますます賑やかになりそうです。
[街の声]
現在、飯田橋駅は工事中のため、西口から神楽坂方面へ行く際は従来と比べて少し遠回りになります。若干不便ではありますが、数年後には駅前が整備されることを思うと、楽しみの方が大きいですね。(飯田橋在住・Kさん)
【交通の利便性】5路線を駆使し、都心の各所へ乗り換えなしでアクセスが可能
飯田橋駅は、JR中央・総武線に加え、東京メトロ南北線・東西線・有楽町線、都営大江戸線の5路線が利用可能です。大手町まで6分、日本橋まで7分、新宿まで7分と、どこへ行くにも便利な立地です。終電も遅くまであるため、アクティブに暮らしたい方にお薦めできるエリアです。
また、首都高5号池袋線の飯田橋出入口も近いため、自動車ユーザーにも意外と人気があります。ただし、駐車場代は機械式で月3~4万円台が相場なので、駐車場代も込みで住まいを検討しましょう。
[街の声]
家探しの際は、JRの駅から徒歩圏内であることを条件としていました。5路線も利用できる駅を選んだのは偶然ですが、実際に住んでみるととても便利。今では地下鉄を利用することの方が多いくらいです。仕事をするにも、遊びに行くにも移動時間が短いため、時間を有効に使えるようになりました。(飯田橋在住・Kさん)
【教育・文化環境】待機児童数ゼロの千代田区、文教エリアの文京区、子育てがしやすい新宿区
千代田区と文京区、新宿区の区境に位置する、飯田橋。JR線と東京メトロ東西線は千代田区、都営大江戸線は文京区、東京メトロ有楽町線と南北線は新宿区にあるといった具合です。居住する区によって行政のサービスや学区が異なるため、物件を探す際は何区に位置するのかチェックが必要です。
待機児童数で見ると、千代田区は0人、新宿区は27人、文京区は107人(2017年4月1日現在※)。3区ともに23区の中では少ない部類ですが、中でも千代田区は過去4年連続で待機児童数ゼロを実現しており、保育園に悩む心配はなさそうです。
文京区は、『東京大学』や『筑波大学東京キャンパス』『お茶の水女子大学』といった名門大学が多数ある文教エリア。私立中学・高等学校も多く、受験を前提に引っ越すファミリーも少なくありません。不妊治療に対する助成金や、満2歳未満の乳幼児に対して1時間1,000~2,000円でベビーシッターを利用できる子育て訪問支援券事業など、行政のサポートも積極的です。
新宿区は2016年、日経DUALと日本経済新聞社が発表した「共働き子育てしやすい街ランキング」で総合1位に。保育料が23区の中でも安価なこと、認可保育所定員を約900人に増やしたことが評価されました。2017年は順位を下げてしまったものの、子育て支援に対する取り組みは継続されており、出産育児一時金として一人あたり42万円を支給。病児保育や休日保育の利用や、1時間800円~お子様の送迎や一時預けができる「ファミリーサポート制度」など、共働き世帯が少ない経済負担で子育てできる制度が整っています。
【住環境】こだわりの八百屋から激安スーパーまで、幅広いタイプの店舗が点在
飯田橋駅直結のショッピングセンター『飯田橋ラムラ』の中にある『三浦屋』や、2009年にタワーマンションの完成と同時にオープンした『三徳』は、通勤帰りの買い物に便利。飲食店などが入る『飯田橋サクラテラス』内の『成城石井』も駅から近く、比較しながら買い物ができます。
また、神楽坂のメイン通り沿いにある『よしや』『KIMURAYA』や、牛込神楽坂の『キッチンコート』もよく利用されています。『神楽坂野菜計画』『八百屋瑞花』といったこだわり野菜の店もあり、食材に気を遣う人々に好評です。
全体的にやや高価格帯の店が中心でしたが、『フレッシュランドマルキヤ』がオープンした他、神楽坂駅方面に『業務スーパー』もあり、安価な食材も手に入りやすい環境と言えるでしょう。
[街の声]
徒歩圏内にたくさんのスーパーがあるので、数軒をはしごしながらお得な商品を選ぶようにしています。中でもお気に入りは、『三徳』ですね。土曜日にはポイント10倍になることが多いため、まとめ買いすることもあります。美味しい野菜が食べたいときは、『神楽坂野菜計画』へ。少量で販売してくれるところもポイントです。また、『飯田橋ラムラ』の前で定期的に野菜の路上販売が行われていて、たまに利用します。自家製の梅ジャムや塩レモンなど、安くて美味しい食材が手に入りますよ。(飯田橋在住・Kさん)
『外濠公園』や『靖国神社』など、散策に最適な桜の名所が勢揃い
飯田橋駅から市ヶ谷、四ツ谷駅にかけて約2キロにわたる桜並木は、車窓からも楽しめる桜の名所として知られています。『外濠公園』として遊歩道も整備されているため、歩きながら桜を間近に眺めることもできますし、ボートを漕ぎながらの鑑賞も可能です。また、気象庁が東京の桜の開花宣言に使用している基準木がある『靖国神社』や、皇居のお濠沿いの遊歩道で夜のライトアップも有名な『千鳥ヶ淵緑道』、入園料が掛かりますが『小石川後楽園』も徒歩圏内。いずれも遠方から訪れる人も多い人気スポットです。
[街の声]
外堀沿いの桜並木は、このエリアに引っ越す前からのお気に入り。車窓からも、川辺からも、よく眺めていました。毎年桜の季節になると、この景色を毎日眺めることができる幸せを感じます。(飯田橋在住・Kさん)
いざという時の総合病院から地元で評判のクリニックまで、充実の医療機関
東京厚生年金病院から2014年に名称を変更した『JCHO東京新宿メディカルセンター』や日本郵政グループが運営する『東京逓信病院』、飯田橋駅からすぐの『日本歯科大学附属病院』など大きな病院がいくつもある他、地域密着型のクリニックも充実しています。終業後でも利用できるように夜間も診療しているところもあり、用途に合わせて医療機関を選ぶことができます。
[街の声]
神楽坂で10年以上暮らしている方に「体調を崩した時の駆け込み寺」とお薦めしてもらったのが『神楽坂医院』。パッと見た雰囲気も、中に入っても、病院というより親戚の家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気が気に入り、風邪をひいたときなどに利用しています。(飯田橋在住・Kさん)
学生街らしい手頃な飲食店からミシュラン星付きの名店まで揃う美食の街
学生街のため、飯田橋駅周辺にはリーズナブルな飲食店が豊富。中でも『神楽坂飯店』のジャンボ餃子は有名で、デカ盛りの聖地として親しまれています。
庶民的な店がたくさんある一方で、神楽坂は美食の街として知られており、ミシュランで星を獲得している店も多数存在します。また、多くのフランス人が暮らしているため、数十店舗ものフランス料理店やワインバー、本場さながらのベーカリーが多いことも特徴です。お財布事情や用途によって、多岐にわたる飲食店を使い分けできるエリアです。
[街の声]
『神楽坂飯店』は学生時代、クラスメイトがよく通っていました。ジャンボ餃子や一升炒飯、ジャンボラーメンはとても食べきれませんので、私は応援専門です(笑)。隣の『えぞ松』もボリューム満点の中華料理店ですが、ここでホイコーロー定食はたまに食べましたね。お財布に優しいお店です。昔も今も大好きなのが『紀の善』の抹茶ババロア。テイクアウトの方が安いので、最近は持ち帰って食べています。『不二家飯田橋神楽坂店』のぺこちゃん焼や『神楽坂五十番』の肉まんなど、神楽坂ならではの食べ物がたくさんあり、買い食いするのも楽しいですね。懐石料理やフレンチの名店にはなかなか行けませんが、ランチなら1,000円程度で楽しめる店も多いため、少しずつ攻略しています。(飯田橋在住・Kさん)
【コストパフォーマンス】JR中央・総武線沿線は高額。地下鉄沿線が狙い目
飯田橋駅の土地価格は、189万4,545円/平米(坪単価626万2,960円/坪)。3年前は167万4,100円/平米(坪単価553万4,214円/坪)で、ここ数年上昇を続けています。都心の中でもJR総武・中央線沿線は総じて高額ですが例えば、東京メトロ有楽町線の隣駅である江戸川橋の土地価格を見ると、89万2,000円/平米(294万8,760円/坪)、都営大江戸線の隣駅、牛込神楽坂の土地価格も同様で、91万円/平米(300万8,264円/坪)と約半分の価格になります。徒歩圏内でもエリアによって価格が大きく異なるため、実際に街を歩きながらお買い得なエリアを見つけましょう。
【「飯田橋」近辺の土地価格、坪単価比較】
土地価格 | 坪単価 | |
水道橋駅 | 218万円/平米 | 720万6,611円/坪 |
飯田橋駅 | 189万4,545円/平米 | 626万2,960円/坪 |
市ヶ谷駅 | 194万7,000円/平米 | 643万6,363円/坪 |
江戸川橋駅 | 89万2,000円/平米 | 294万8,760円/坪 |
牛込神楽坂駅 | 91万円/平米 | 300万8,264円/坪 |
[街の声]
飯田橋駅前のタワーマンションが時々売りに出ていますが、新築時よりも高値で取引されています。億ションばかりでとても手が届きませんが、徒歩圏内の周辺エリアまで視野を広げれば、比較的安価な建売住宅や中古マンションも売りに出ています。坂が多いので電動自転車が必須ですが、駅から多少離れていても快適に生活できます。諦めずに探せば、掘り出し物の物件が見つかりますよ。(飯田橋在住・Kさん)
グルメに映画鑑賞にイベントの開催。マイカーがなくてもアクティブに暮らせる街
最後に、飯田橋で暮らすKさんに街の魅力を聞いてみました。
[街の声]
学生時代から馴染みのある飯田橋に引っ越して数年が経ちますが、毎日飽きることがありません。都内のどこへ行くにも便利ですし、徒歩圏内に話題の飲食店がたくさんあるので、目移りしてしまうほど。休日は名画座『ギンレイホール』で映画鑑賞を楽しんだり、自転車で新宿まで出かけたり、神楽坂で開催されるイベントに参加したり、様々な楽しみがあります。坂や細い道が多いため全ての方にお薦めとは言いませんが、夫婦2人でアクティブに暮らすのにぴったりの街です。これからも、飯田橋ライフを楽しみたいですね。
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(最終更新日:2019.10.05)