厳しい経済状況や公的年金の不透明感など、さまざまな要因で住宅ローンの返済を不安視する人が増えてきているためか、近年では、住宅ローンを借りる前にファイナンシャル・プランナー(FP)に相談する人が増えているようです。しかし、「FPとはどんな人で、何をしてくれるのか」という疑問をお持ちの人もまだまだ少なくありません。そこでFP相談のメリットや、相談で失敗しないコツをご紹介します。
ファイナンシャル・プランナー(FP)とは?また、相談するメリットは?
「マイホーム購入」、「住宅ローンの借り入れ」などについて、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談したいという人がいらっしゃいます。では、FPとはどんな人で、何をしてくれるのでしょうか。
FPは“家計の専門家”と考えるといいでしょう。FP資格を取得するためには、不動産や税金、相続といった知識が必要ですが、税理士や弁護士などのような問題を解決するスキルを持った存在とは少し違います。
FPの専門は家計という、より身近な分野ですので、起きてしまった問題を解決するというよりも、問題の発生を「未然に防ぐ」という効果が期待できます。
家計についてのセミナーは多く開催されていますし、ハウツー本もたくさん出版されています。そのため、そこで知識を得ればいいのでは、という意見もあるでしょう。しかしセミナーやハウツー本は良質なものもある一方、内容が簡単すぎるたり、逆に難しすぎたりすることがあります。
また、どうしても対象が幅広くなるため、扱う内容が一般的なものにとどまりがちで、「参加してみたものの(読んでもみたものの)自分のケースには当てはまらなかった」ということもよく聞きます。
つまり、書籍やセミナーでは、情報収集をすることはできても、それが必ずしも自分のケースに当てはまるわけではないのです。その点、FPとの個別の相談ならば、自分の知りたい点について確実にアドバイスをもらえるのが大きなメリットといえるでしょう。
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相談はどのような形で行われるのか
FPによって相談形態はさまざまです。「無料相談」「土日相談」「訪問相談」「電話やインターネットでの相談」など、多様な相談手段があります。また、銀行が主催する住宅ローン相談会でFPに相談できる場合や、不動産会社の営業マンがFPの資格を持っている場合もあるようです。 「無料」という二文字に惹かれる人も多いと思います。ただし、無料が必ずしもいいこととは限らないので注意しましょう。
たとえば、顧客獲得のために相談を初回のみ無料としているケースでは、本格的な相談というよりも、「FPとの相性やサービス内容の確認のための時間」という認識でいたほうが無難です。また、完全無料相談の場合には、相談に来た人に、保険などの金融商品を販売して、保険会社などから受け取る手数料や紹介料で生計を立てている可能性もあります。中立の立場のアドバイザーを探している場合は、相談料が有料のFPのほうが適しているでしょう。
セミナー受講とFP相談との比較
セミナー受講 | FP相談 | |
料金 | 無料・有料のものがある。安価なことが多い | 無料・有料のものがある。中立性を望むならば有料相談が望ましい |
内容 | 一般的な受講者に合わせて決定 | 顧客の要望に添ったもの |
アドバイス | 一般的なものが多い | 個別具体的なもの |
満足度 | ニーズに合っていれば高いが、そうでない場合は低い | 個々のFPの力量にもよる |
FPに相談する際の料金の目安は?
では、FPの有料相談を受けると、どれくらいの料金がかかるのでしょうか。やはり金額は気になるところかと思います。ひとつの目安としては、1時間当たりの相談料として最も多いのは5,000〜1万円程度です。
ただし、時間制ではなく「3回相談で○○円」「月額料金○○円」といった料金形態もあります。相談の難易度によっても料金は変わることがありますので、事前に相談内容を伝えたうえで料金総額がどのくらいになるのか確認しておきましょう。
FP相談ではどんな話が聞ける?
FPへ相談する場合、どんな相談内容が期待できるのでしょうか。主なものをまとめましたので参考にしてください。
<FPに相談できること>
家計 | 赤字の問題点・改善案保険料見直し・必要保障額の見極めなど |
教育費 | 子どもをもう一人欲しいのだか可能かどうか、子どもの教育費を準備方法など |
住宅ローン | 適した住宅ローンの選定(新規・借り入れ/借り換え)住宅ローンの返済は可能かなど |
老後資金 | 年金だけで生活できるのか老後資金を用意するにはどうしたらいいかなど |
資産運用 | 資産運用の方法など |
FP相談では、このような家計全般の相談が可能です。もちろんFPごとに得意分野はありますが、どの分野についても基本的な知識は持っています。実は、FPの強みは守備範囲の広さといってもいいくらいです。
住宅ローン相談を例にすると、住宅ローンの返済計画という専門性を有しつつ、返済が苦しい場合は保険や家計の見直し、運用で貯蓄率を高めるなど、多方面から家計を改善させるための提案を行うことができます。いわば、二重三重の改善案を出せるのです。
もちろん、中には「借入先金融機関の選定」、「変動金利か固定金利か」、「家計収支から見て返済額はどれくらいに抑えるべきか」といった住宅ローンの商品選択に特化しているFPもいます。しかし、そうした特化型のFPであっても、基本的には家計改善や保険見直しなど家計全般を見据えて相談を受けることができるのが、FPの強みといえるでしょう。
FPの上手な選び方は?
前述した通り、FPの守備範囲は広く、どの分野についても基本的な知識を持っていますが、その中でもFPごとに得意分野があります。そのため、自分のニーズにあった専門家を選ぶことが大切です。
また、FPとして適切なアドバイスをするためには、相談者から家計状況などについて丁寧に聞き取りを行い、家庭ごとに個別の対応をしていくことが必要になります。そのため、じっくり話を聞く体制が整っているか、事前のヒアリングがしっかりと行われるかどうかが重要です。
ここで、FP相談の流れを見てみましょう。
<一般的なFP相談の流れ>
1. 相談者の希望や悩みを一緒に確認する
2. 相談者が置かれた現状の把握
3. 現状の分析・評価と将来のあるべき姿の想定
4. 改善策・ベストプランの作成
住宅ローンについても、通常はこのような流れで、返済計画を立案します。
たとえば、子どもの進学先や進学の時期、その他、定年退職の時期、退職金の額などを踏まえて、30〜35年程度の長期的な視点で、家計の変化を予測します。そのうえで、どれくらいの金額をどのような条件で借りれば返済が可能なのかを検討するのです。
その他、「住宅ローンの返済をしながら教育費を確保できるか」「定年までに住宅ローンが完済できるか」「改修が必要になる時期までにリフォーム代が用意できるか」など、顧客の希望を叶えられるかも見極めます。
また、住宅ローンの借り入時には、一般的に団体信用生命保険(団信)に加入することが多いので、現在加入している生命保険の保険金がいくらなのか、団信加入後もその保険金が必要なのかといった保険の見直しを依頼することも可能です。
逆に言えば、家計収支やライフイベントに関する希望など、総合的な情報がなければ、精度の高い提案を行うこと自体が難しくなるのです。ですから、FPに相談する際は、「何をしてくれるのか」だけでなく、そうした情報をしっかりとヒアリングした上で提案をしてくれるかどうかもチェックしましょう。
相談に行く前に準備しておくことや当日の持ち物は?
お金の相談である以上、家計の収入と支出を伝えることは必須です。源泉徴収票を用意するのが理想ですが、なければ通帳などで手取り額を合算するだけでも大丈夫です。
また、どんな希望を持っているのか、逆にどんなことで悩んでいるのかを明確にしたうえで相談することが望ましいので、事前に夫婦で「何が不安なのか」「解決したい問題は何か」「どんな生活をしていきたいか」といってことを話し合っておくことが大切です。
とはいえ、「漠然と不安を持っているけれど、何が問題なのかわからない」という人もいるかと思います。そういった場合は、そのことを夫婦で共有するだけでも大丈夫です。
さらに、家計の相談ならば家計簿、保険の相談ならば加入している保険の保険金がわかる保険証書、住宅ローンの借り換えであれば、現在の返済予定表などが必要です。
これら事前に準備しておくものについては、相談するFPに直接問い合わせるのがいいでしょう。中にはすぐには用意できない持ち物があるでしょうから、切羽詰まってからあわてて相談するのではなく、早めに相談予約できるといいですね。
FPにもさまざまな専門家がいます。事前に相談したいことを明確にして、ミスマッチを防ぎましょう。また、料金や相談の進め方などを確認して、ご自身が「信頼できる」と思えるFPを選びたいところです。そうすれば、より質の高いアドバイスを受けられるでしょう。
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