住宅ローンで二軒目を購入したい! ダブルローンは可能?

親族居住用住宅ローン、セカンドハウスローンを借りる条件は?

次に、これらのローンを借りるための条件について見てみましょう。

(1)返済能力があること

親族居住用住宅ローン、セカンドハウスローンについても、一般の住宅ローンと同じように審査があります。

すでに借り入れている住宅ローンに加えて、新たにローンを組むことになるので、二重にローンを組んでも返済していけるかどうかが問われます。そのため、審査は厳しくなる可能性が高いでしょう。具体的には、各金融機関が定める返済比率(年収に対してローンの返済額が占める割合のこと)の基準を超えていないことが条件になります。

【フラット35】を例にあげると、「年収400万円未満は30%以下」「年収400万円以上は35%以下」という基準が設けられています。

たとえば、年収600万円の会社員が、3,000万円の住宅ローンを返済期間35年、金利1%で借りているとすると、毎月の返済額は8万4,686円、年間にすると101万6,232円です。この場合の、返済負担率は16.9%(101万6,232円÷600万円×100=16.9)になります。

年収600万円の場合、返済比率の基準は「35%以下」なので、年間の返済額の上限は210万円(600万円×35%=210万円)です。計算上、あと108万円ほど返済額が増えても返済比率の基準は超えません(210万円-101万6,232円=108万3,768円)。

そのため、新たなローンを、返済中の住宅ローンと同じ1%の金利で借りることができれば、マイホームと同額の3,000万円程度は借り入れることができると考えられます。

ただし、返済比率は住宅ローン以外の借り入れについても対象になるので、自動車ローンなどがある場合は、借入可能額はより低くなります。

(2)投資用でないこと

前述したように、親族居住用住宅ローンもセカンドハウスローンも、融資を受ける本人や、その親族が居住することが融資の条件になっています。第三者に賃貸する目的で購入する物件には利用できません。

最近、老後に備えての資産形成などを目的とした不動産投資が話題にあがることが多いですが、不動産投資のためには利用できないということです。賃貸目的の場合、住宅ローンよりも金利が高い、不動産投資用のローンを組むことになります。

不動産投資をしている人が、金利負担を抑えるために、金利の低い住宅ローンで購入した住宅に一度住んだ後、転勤などの特別な事情がなく転居をし、その住宅を賃貸に出しているという話を聞いたことがありますが、金融機関に発覚した場合、一括返済を求められることになります。くれぐれも、金融機関に虚偽の説明をし投資目的で住宅ローンを組むことなどないようにしてください。

ダブルローンなら【フラット35】がおすすめ

ここで注意していただきたいことが一つあります。それは、一般的にセカンドハウスローンの場合、通常の住宅ローンと比べると金利が高くなっているということです。たとえば、2017年8月時点で見ると、三菱東京UFJ銀行のセカンドハウスローンの金利は、通常の住宅ローンの金利より「0.8%上乗せ」になっています。理由としては住宅ローンは自己居住用として生活のために必要な住宅を購入するという考えのもと金利が低く設定されていますが別荘などのセカンドハウスは生活するための住宅ではなくあくまで贅沢品であるという考え方のため住宅ローンと比較すると金利が高く設定されています。

そこで私がおすすめしたいのが、【フラット35】です。

その理由は2つあります。一つは、「通常の住宅ローンと同じ金利で借りられる」、そしてもう一つは「全期間固定金利型なので返済額が一定である」です。

ただし、【フラット35】の借入限度額は8,000万円に定められています。ですが、借入金額をそれ以下に抑えられるのであれば、セカンドハウスローンとしては【フラット35】がおすすめと言えるでしょう。

2つの住宅ローンを1本にまとめることはできる?

借り入れをしている側からすると、二件の住宅ローンを別々に返済していくよりも、1本にまとめることができれば家計管理もやりやすくなることでしょう。二件の住宅ローンを1本にまとめることはできるのでしょうか。

セカンドハウスローンは、さきほどお伝えしたように、通常の住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。そのため、これを1本にまとめることはできません。

二件目の住宅ローンでも住宅ローン控除は受けられる?

もう一つ、気になるのが住宅ローン控除です。二件目の住宅ローンについても、住宅ローン控除を受けることはできるのでしょうか。

不動産投資のためではなく、自分や親族が住むのだから、親族居住用住宅ローンやセカンドハウスローンであっても、住宅ローン控除が受けられるのでないかと考える人もいらっしゃることでしょう。

ですが、残念ながら、二件目の住宅ローンで住宅ローン控除を受けることはできません。住宅ローン控除の要件には、「新築又は取得の日から6ヶ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」という内容があります。さらに、控除を受けるためには登記簿謄本と住民票の提出も必要です。たとえば、子どもの住居を購入した場合、子どもの住民票をその住所地に移したとしても、購入した部屋の所有者が親であれば、居住者と所有者が同一人物ではないため控除は受けられないということです。

セカンドハウスの購入にあたっては、目的や利用価値を考えて、慎重に検討することをおすすめします。そして、検討の結果、本当に必要だと判断した場合だけ購入を決めるようにしてください。

マイホーム以外に住居を持つことは、ローンをそれだけ多く組むことになり、ローンの返済の負担も大きくなります。せっかくセカンドハウスを購入しても返済が続けられず、結局は売却せざるを得なくなってしまっては、はじめから購入などしないほうがよかったということになってしまいます。

このことは十分に留意していただきたいと思います。

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(最終更新日:2020.03.06)
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