一般的に新築の一軒家に比べて価格が安く、手が届きやすい中古住宅。「中古」といっても、リフォームされていたり、築浅で傷みが少なかったりと状態のよいものも多く、物価の高い東京などの都心部をはじめ、購入を希望する方が増えています。中古住宅を買うためにはどんな費用がかかってくるのでしょうか? 気になる諸費用について、ARUHIマガジン編集部が調べてみました。
売買契約時に支払う費用
不動産の取り引きでは、売買契約書や建物の建築請負契約書、土地賃貸借契約書、ローン借り入れのための金銭消費貸借契約書などに、課税文書として印紙税が課税されます。税額は契約書の記載金額によって決定し、納税は、規定の印紙を契約書に貼り、それを消印することによって完了します。なお、同じ契約書を複数作成する場合は、1通ごとに印紙を貼る必要があります。そのほかの費用として、成約後に仲介業者に支払う手数料が挙げられます。一般的に、(税抜き物件価格×3%+6万円)×1.08で計算された金額が相場で、売買契約締結時にこの半額を支払うケースが多くみられます。
引き渡し時に支払う費用
仲介業者への手数料の残り半額を支払うほか、土地や建物の所有権の移転登記のため登録免許税、登記設定に伴う司法書士への報酬、前所有者との間での固定資産税の精算などが必要です。登録免許税には住宅用家屋の軽減税率という特例があり、「自己居住用住宅である」「延床面積50平米以上」「築20年(耐火住宅は25年)以内または、地震に対する安全性に係る基準に適合することが証明されたもの」「取得後1年以内に登記」といった4つの要件に該当する場合、税率が優遇されます。中古住宅ならば築20年以内の物件を選んだ方が税金は安くなるのでチェックしておくとよいでしょう。
諸経費
・住宅ローンを借りるタイミングで必要な諸費用
中古住宅は、新築住宅と同様に銀行などの一般的な住宅ローンを利用することになります。金融機関ごとに設定されたローン事務手数料の他、ローンを組むには抵当権設定登記をしなければならず、その際にも登録免許税がかかります。さらに、連帯保証人に代わって保証会社に保証を依頼するための保証料、借主が死亡・高度障害状態になり、ローンが支払えなくなった際に備える団体信用生命保険、火災・地震保険料も支払います。
・入居時に必要な経費
照明器具やカーテン、絨毯など、売主がそのまま残してくれる場合もありますが、それらを新調する予算も確保しておかなければなりません。また中古住宅の場合、内見の際には売主がまだ生活している場合もあり、建物の隅々まで見て回ることができない可能性もあります。事前に準備できないこともあるので、たちまち必要なカーテンや照明は、前もって売主や仲介業者に必要なサイズや数を確認しておくと安心です。
・新生活スタート後の住宅関連費用
不動産の所有権を取得すると、不動産取得税がかかります。都道府県によって異なりますが、多くの場合、取得の約半年後に納税することになります。こちらも軽減措置があり、「自己居住住宅である」「延床面積50平米以上240平米以下」「築20年(耐火住宅は25年)以内または、地震に対する安全性に係る基準に適合することが証明されたもの、または昭和57年1月1日以降に新築されたもの」といった要件を満たしていれば適用されます。
費用の内訳と金額一覧
費用名 | 内訳 | 金額(参考) |
仲介手数料 | 契約から決済前までに支払う手数料 | 税抜き物件価額×3%+6万円×1.08% |
引き渡し時に残りの代金の支払い | 残りの代金 | |
登記費用 | 登録免許税 | 土地評価額×1.5% |
司法書士の手数料 | 数万~数十万円程度 | |
住宅ローンを借りる際に必要な費用 | 借入手数料となる融資事務手数料 | 数十万円 |
住宅ローンの保証料 | ||
団体信用生命保険 | ||
火災・地震保険 | ||
収入印紙代 | ||
抵当権の設定費用 | ||
入居時に必要な費用 | 引っ越し費用 | 数万円 |
不動産所得税 | 不動産の価格×土地及び住宅 3%(平成30年3月31日まで) | |
新居に合わせて家具や家電を購入する費用 | 数十万円~数百万円 | |
近所への引越し挨拶品 | 数千円 | |
新生活スタート後に必要な住宅関連費用 | 固定資産税 | 固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率) |
その他各種設備のメンテナンス費用 | 数十万円~数百万円 | |
不動産取得税 | 〜数十万円 |
まとめ
新築住宅も中古住宅も大きく分けると必要な経費は変わりません。しかし、中古住宅の場合は、「築20年以内であること」「地震に対する安全性」といった一定の基準を満たしているかどうかで、登録免許税や不動産取得税の優遇措置の適用が変わってくるようです。同様に、住宅ローンにおいても、築年数や耐震基準など一定の要件に該当しなければ控除が受けられません。これらをきちんと確認した上で物件を選ぶと、支払い額に大きな差が生まれそうですね。中古住宅を購入する際は、間取りや立地と合わせ、築年数や建物の構造などもしっかりチェックしましょう。
(最終更新日:2019.10.05)