将来の不透明さや、大きなお金を借りることへの不安から、住宅購入を迷う人も少なくありません。誰かに相談したいと考えた時、気になるのが不動産会社チラシや銀行の店頭などで目にする「住宅ローン相談会」ではないでしょうか。とはいえ、そもそも不動産会社や銀行が行う住宅ローン相談会は信用できるものなのでしょうか。住宅ローン相談会では誰に、どんなことを相談できるのか、見ていきましょう。
住宅ローンの相談会とは?
同期や後輩が住宅を購入した、結婚や出産によってライフステージが変化した、といった理由から、誰にでも「家を買おうかな?」という時期が訪れるものです。その際、すんなり住宅購入に踏み切れればいいのですが、何しろ人生で最大の買い物ですから、住宅購入を迷う人も多いことでしょう。
誰かに相談したいと考えた時に、気になるのが「住宅ローン相談会」です。住宅ローン相談会では、誰にどんなことを相談できるのでしょうか?
住宅ローン相談会とは、文字通り、住宅ローンの相談ができるものです。金融機関やハウスメーカー、不動産会社などが開催しています。事前予約や申し込みが必要なものや、住宅展示場やモデルルームを訪れたついでに立ち寄れるものもあります。
また、比較的気軽に参加しやすいセミナー形式のものや、個別相談タイプのものもありますが、ここでは個別相談タイプについて見ていきましょう。
住宅ローン相談会を開催するのは誰?
住宅関連の業者はたくさんありますが、住宅ローン相談会を開催するのは、主に (1)金融機関、(2) 不動産会社、(3) ハウスメーカー・工務店に絞られます。また、基本的に相談料は無料です。
なぜこの三者が、無料で住宅ローン相談会を開催するのか考えてみましょう。
(1)金融機関
まず、金融機関は住宅ローンを商品として取り扱っており、融資の可否や借入額の上限を判断するところですから、住宅ローン相談会を開催するのは当然と言えるでしょう。
(2) 不動産会社
不動産会社の仕事は、住宅を買う人と売る人を仲介したり、自ら住宅を販売したりすることです。しかし、住宅の購入者が住宅ローンを借りられないと、契約を成立させることができません。購入者のために住宅ローンの手配をするのも業務の一環と言えます。通常、提携している金融機関があり、指定の金融機関の住宅ローンについては詳しいがそれ以外については、営業マン個人の資質によります。
(3)ハウスメーカー・工務店
家を建てる会社であり、「建築」の専門家です。不動産会社に仲介や販売代理を依頼するケースが多く、間取りや材質については頼もしい限りですが、住宅ローンに詳しいとは限りません。ただ、仲介や販売代理店を置かずに直接販売するケースもあり、販売サービスの一環として住宅ローン相談会を行うこともあります。
基本的には、ここであげた三者のどこでも住宅ローンの相談ができるといっていいでしょう。ですが、上述したように、ハウスメーカーは家の建築や販売が専業であり、一般的には住宅ローン相談は付加価値の1つと言えます。そのため、ここでは「金融機関」「不動産会社」の二者に絞り込んで、それぞれの住宅ローン相談の特徴や注意点について見ていきましょう。
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金融機関が行う「住宅ローン相談会」の特徴は?
店舗を持つ銀行の場合、各支店の窓口や、住宅ローンプラザで相談に応じています。金融機関というと平日の昼間にしか窓口が開いていない、というイメージが強いかもしれませんが、平日の夜や休日も対応しているところが多いようです。
基本的に、以下のような住宅ローンに関することならばすべて聞けると考えていいでしょう。
・審査手順や必要書類など手続き全般
・借入額や、金利など返済額に関すること
・住宅ローンの種類や借り方の詳細など
また、単純に手続きや事務的なことを説明してくれるだけでなく、返済計画のシミュレーションを行ってもらうこともできます。また、「夫婦で借り入れするにはどういう方法がベストか」「返済が苦しい時はどうすればいいのか」など、住宅ローンに関する疑問や質問に幅広く対応してくれるでしょう。
なお、店舗を持たないネット銀行の場合は、IPテレビ電話を使った対面に近い相談ができる専門の店舗(「住宅ローンプラザ」という名称が多いです)を開設しているところもあります。店舗のある金融機関と比較すると利便性は劣るかもしれませんが、住宅ローン全般について聞けるという点は変わりません。
住宅ローンの専門家と言える金融機関ですが、注意点もあります。金利に関しては融資実行時点の金利が適用されますし、審査によっても適用金利は変わってきます。相談会での説明や試算は絶対的なものではないことを覚えておきましょう。
不動産会社が行う「住宅ローン相談会」の特徴は?
不動産会社は家を仲介、販売する会社です。家を売るためには、住宅ローンについても詳しくなくてはなりません。しかし、あくまで売るのが仕事であり、担当者によってばらつきがあるとはいえ、住宅ローンに関する知識は、金融機関には及ばないと考えておいたほうがいいでしょう。
購入したい住宅が決まっていて、その住宅を購入するために必要な書類や手続きなどを知りたい場合はいいのですが、購入したい住宅がまだ決まっていないけれど、どれくらいの金額を借りられるか知りたいといった場合などは、金融機関へ相談したほうがよいかもしれません。
まとめるならば、住宅ローン全般について知りたいならば金融機関の相談会、購入したい住宅が決まっていて、住宅ローンの申し込みなどの手続きについて相談したいのであれば、不動産会社の相談会が向いていると言えるのではないでしょうか。
住宅ローン相談に行く前に準備しておくこと
次に、住宅ローン相談会に行く前に、事前に準備しておくべきことを確認しておきましょう。
どこまで具体的な話をしたいかによっても変わってきますが、やはり住宅ローンのポイントは、「いくらまで借りられるのか、どのような条件で借りられるのか」という話になると思います。そのため、世帯収入や貯蓄額などを確認しておくことをおすすめします。また、住宅ローンには団信の審査もありますので病歴などもメモしておくといいでしょう。
なお、金融機関であればその金融機関の主力商品がありますし、不動産会社であれば提携ローンがありますので、基本的には複数の住宅ローン商品を比較して相談することはできません。
そのため、予備知識がまったくない状態で相談会に行ってしまうと、その住宅ローンが自分にとって良いのか悪いのか、ほかにもっと良い商品があるのかを判断することができません。
そこで、事前に住宅ローンの金利タイプや返済方法など、基本的な知識を持っておくことをおすすめします。基本的な知識があれば、提案された住宅ローンの特徴や自分の希望に合っているかどうかが理解できるのではないでしょうか。
相談会以外で住宅ローン相談はできる?
ここまで、金融機関と不動産会社が開催する住宅ローン相談会を中心にお話ししてきましたが、住宅ローン相談会でなければ住宅ローンの相談ができないわけではありません。家計や保険などのアドバイスを行うファイナンシャルプランナーや、不動産コンサルタントなどが、住宅ローンの相談を受け付けています。
独立系ファイナンシャルプランナーの住宅ローン相談
独立系のファイナンシャルプランナーは、「家計」の専門家と言えます。そのため、住宅の購入資金についてだけでなく、教育費や老後資金も視野に入れた家計全体を俯瞰しながらの相談をすることができます。相談料はかかりますが、借りることだけでなく、借りた後の家計についても相談できるのは安心と言えるでしょう。
ただし、個人で活動しているファイナンシャルプランナーも多く「本当に専門知識があるのか」「相談するに足る能力があるのか」は個々で判断しなければなりません。実績や能力をしっかり見極めたいところです。
不動産コンサルタントの住宅ローン相談
不動産コンサルタントの中には、住宅ローンに特化しているコンサルタントがいます。多くの住宅ローンに精通し、諸経費や金利を比較検討した上で、最もお得な住宅ローンを提示してくれるようなコンサルタントです。
こういったコンサルタントに相談するためは、ファイナンシャルプランナーと同様に相談料を支払う必要があります。そのため、相談料を支払ってもなお、おつりがくる「安い住宅ローン」を見つけ出すことがその目的になります。
ただし、住宅ローンにはコスト削減以外の面にも重要な点がありますので注意しましょう。コストを追求するあまり「団信などの補償がおざなりになる」「パソコンが苦手なのにネット銀行を選択してしまった」といった結果にならないよう、コスト以外の面も考慮した上で、あなたにとって最適な住宅ローンを選択してくれるコンサルタントを選びたいです。
なお、ファイナンシャルプランナーと不動産コンサルタントについては、明確な線引きがあるわけではありません。不動産コンサルタントがファイナンシャルプランナーの資格を持つなど、両者を兼ねているケースも多いです。名称にこだわらず、サービス内容を確認した上で、相談するかどうか判断することをおすすめします。
住宅ローン相談は誰にするのがおすすめ?
これまで見てきたように、住宅ローンの相談先はいろいろです。どこで相談したらいいのか迷ってしまいそうですが、結論としては、何を求めるかによって相談相手は異なると言えそうです。相談の目的と相談先を簡単にまとめておきますので、参考になさってください。
・住宅ローン全般の相談ならば金融機関
・ライフプランや教育費、老後資金など、家計全体を視野に入れた相談ができるのはファイナンシャルプランナー
・購入したい物件が決まっており、その不動産会社の住宅ローンについて知りたいならば不動産会社
・多くの住宅ローンから最適のプランを選んでほしいなら不動産コンサルタント
相談してみた後に、「何か違う」ということにならないよう、どんなことを相談したいのかを整理しておきましょう。ご自身の希望にぴったりの住宅ローン相談を選択したいですね。
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