40歳・単身で神戸市の中古マンションを購入。実験住宅にリフォームしたYさん

■プロフィール
名前・性別 Yさん 女性
年代(購入時) 40代前半
職業・業種 一級建築士/大学教員・教育
雇用形態・年収 自営業/正規雇用・460万円
家族構成 本人
勤務地・通勤時間 兵庫県神戸市・30分
社会人歴・転職回数 10年・1回
勤務先の社歴(ローン実行時) 3年
■購入物件情報
物件所在地 兵庫県神戸市
アクセス JR山陽本線 徒歩圏内
物件種別・間取り 中古マンション・3DK
購入価格
頭金
1,200万円
なし
住宅ローン 全期間固定金利型(【フラット35】S)9割+変動金利(半年型)1割
住宅ローン 返済額
返済期間
月4万3,000円→5万円台後半(ボーナス払いなし)
35→20年
引越し前の所在地 兵庫県神戸市
購入前の家賃・間取り 月3万円 3DK

大学教員として、一級建築士としても活躍するYさんは、分譲賃貸マンションを買い取り長期優良住宅化リフォーム推進事業に基づく「実験住宅」として、共同研究者とともにリフォームを行いました。住宅購入に悩む単身女性は必読のお話

お母様の暮らすマンション内の分譲賃貸に引っ越し

20代は海外で暮らしていたのですが、帰国と同時に兵庫県神戸市内で、事務所兼住まいを構えました。その後、母の友人が介護施設に入居することになり、その方が暮らしていた分譲マンションを借りることに。3DKのうち一室は、貸主さんの家具などが残っていましたが、一人で暮らす分には十分な広さです。母が暮らすマンションの別フロアという立地に加え、ダイニングテーブルなど必要な家具をそのまま使わせていただくことができ、快適な毎日でした。

デッドスペースを有効に活用するため、PS(パイプスペース)の空洞だった部分に可動棚を設置。床下は点検口にしている。また、全ての窓に国土交通省長期優良住宅リフォームの対象工事である省エネ性能を高める内窓を設置。「線路の音が全く聞こえなくなりましたし、エアコン効率も向上。住んでみて驚きました」
デッドスペースを有効に活用するため、PS(パイプスペース)の空洞だった部分に可動棚を設置。床下は点検口にしている。また、全ての窓に国土交通省長期優良住宅リフォームの対象工事である省エネ性能を高める内窓を設置。「線路の音が全く聞こえなくなりましたし、エアコン効率も向上。住んでみて驚きました」

 

長期優良住宅化リフォームを目的として、マンションを購入

そんな折、家主さんから「そろそろ購入する?」と声を掛けていただいたんです。私は建築の仕事や研究をしており、同じ頃に創設された「長期優良住宅化リフォーム推進事業」に興味がありました。マンションはリフォームの必要がないほど良い状態でしたが、省エネルギー対策や維持管理・更新の容易性など特定性能向上工事を実施。国に申請し、補助を受けながら「実験住宅」を作ってみたいと考えました。

玄関入ってすぐの「居室1」は現在、事務所として活用している。壁の上部には木毛セメント板を使用。工場などでよく使われるヒノキの木屑を重ねた素材で、断熱性能の高さが特徴だ。また、棚などをつけやすいように間柱を設置。手すりも簡単に設置できる。「通常は下地がどこにあるか分かりづらく、DIYをするのが大変ですが、敢えて露出させることでカスタマイズしやすいように配慮しました」
玄関入ってすぐの「居室1」は現在、事務所として活用している。壁の上部には木毛セメント板を使用。工場などでよく使われるヒノキの木屑を重ねた素材で、断熱性能の高さが特徴だ。また、棚などをつけやすいように間柱を設置。手すりも簡単に設置できる。「通常は下地がどこにあるか分かりづらく、DIYをするのが大変ですが、敢えて露出させることでカスタマイズしやすいように配慮しました」

独身女性のマイホーム購入を後押ししたい

また、統計データや研究により、独身女性が家を買うことに抵抗を感じていることが分かりました。「マンション買うと結婚できないのでは?」「夫に買ってもらわないといけない?」と悩む周囲の女性が、とても多かったんです。「家を買う=結婚しない宣言」のような風潮もありますよね。私も独身女性なので、気持ちがよくわかります。でも、家を買った後に住まなくなれば貸せばいいし、持ち家なら手を加えることもできます。「こんなライフスタイルもある」ということを伝えたくて、自らマンションを買い取り、リフォームすることに決めました。

現在はダイニングとして利用している「居室2」露出した配管は、白い不燃性のシートで巻いている。「配管を露出させることで点検がしやすくなり、維持管理対策等級を上げることができます」
現在はダイニングとして利用している「居室2」露出した配管は、白い不燃性のシートで巻いている。「配管を露出させることで点検がしやすくなり、維持管理対策等級を上げることができます」

 

【フラット35】ありきで金融機関を検討

住宅ローンに関しては全期間固定金利の【フラット35】ありきで考えていました。はじめは様々な銀行に足を運びましたが、どの銀行さんも自社の住宅ローンを推してくるばかりで、【フラット35】での借り入れには消極的な様子。そんな時にインターネットで、アルヒ株式会社を知りました。【フラット35】を中心に取り扱っていますので話が進めやすく、スピーディーな対応も良かったですね。担当者さんがとても優しくして下さったこともあり、アルヒさん以外で審査は出しませんでした。提出書類が多く、期限内に集めるため奔走しましたが、女性単身・頭金ゼロという状況でも問題なく借り入れができました。また、省エネ性能などが認められ、【フラット35】Sを5年間適用することができました。これから中古マンションを買う方にも、是非活用して欲しいですね。

寝室などプライベート空間として利用している「居室3」建具と建具の間に嵌めたパネルを外せば、キッチンと「居室3」が一続きの空間になり、ダイニングの役割も果たす。「パネルや建具を使って可変性のある間取りを作りたかったんです」
寝室などプライベート空間として利用している「居室3」建具と建具の間に嵌めたパネルを外せば、キッチンと「居室3」が一続きの空間になり、ダイニングの役割も果たす。「パネルや建具を使って可変性のある間取りを作りたかったんです」

 

借り換えによって返済期間を大幅に短縮

借り入れから2年が経ち、住宅ローン金利が大幅に下がったため、アルヒさんを訪問してシミュレーションを実施。当時より私の年収が上がったこともあり、返済期間を35年から20年に短縮し、借り換えを実行しました。

今後は数年後に繰り上げ返済も考えています。ただ、返済期間を20年に短縮しましたので、気分的にラクですね。月々の返済額は1万円程度しか変わっていませんので、マイペースに返済できそうです。

建具は全て造作。「構造用合板を使えば安価に、好みのサイズで作れるのでお薦めです」
建具は全て造作。「構造用合板を使えば安価に、好みのサイズで作れるのでお薦めです」

 

3つのライフスタイルに適応する住まいを設計

リフォーム費用は800万円。そのうち100万円は国から出る補助で賄っています。私がこれからどのような人生を送ることになっても対応できる設計を目指しました。具体的には現在の希望である「事務所付き住居」として使用する場合、要介護になった母と同居することを想定した「介護可能の住宅」にする場合、私が転勤などでこの家に住めなくなり「シェアハウス」として貸し出す場合という、3つのシナリオを設定し、これら全てに対応できるフレキシブルな空間を設計しました。

全てのシナリオを実現するため、リビング・ダイニングといった名目の空間は作らず、水廻りを共有できる3つの居室を作りました。内装の設計は、共同研究者であるY准教授と共に実施し、2ヶ月を掛けて工事を行いました。

Y邸の大きな特徴が、3つの居室をシェアハウスとして使える空間構成。玄関ホールを右折すれば居室1へ、水廻りを通って右折すれば居室2へ、直進すれば居室3へアクセスでき、お互いの居室には干渉せず、水廻りを共有しながら生活できる。
Y邸の大きな特徴が、3つの居室をシェアハウスとして使える空間構成。玄関ホールを右折すれば居室1へ、水廻りを通って右折すれば居室2へ、直進すれば居室3へアクセスでき、お互いの居室には干渉せず、水廻りを共有しながら生活できる。

自身の経験をもとに中古マンションリフォームの実態を把握

改修後、マンション内で内覧会を実施。たくさんの女性が参加して下さいました。アンケートも実施したところ、リフォームに関するルールがどこにも明示されていないため、困っている方が多いと分かりました。また、一時期、マンション管理組合の理事長を務めており、業務のひとつにリフォーム申請届けの承認があるのですが、判を押している中で、水廻りのリフォームが増加している実態に気付きました。

そこで、内覧会に参加して下さった女性の区分所有者10名ほどとともに、管理組合の内部組織として「リフォーム防災委員会」を立ち上げました。国土交通省の支援のもと「リフォームのルールブック」を作成。リフォームに興味を持つ女性が実行しやすい環境を作ることができました。

3つの居室で共有できる水廻りは、使い勝手も抜群。「洗濯機とキッチンが近いので家事がしやすいですし、廊下を兼ねた水廻りを設けたことで回遊性が生まれ、生活動線も向上しました」
3つの居室で共有できる水廻りは、使い勝手も抜群。「洗濯機とキッチンが近いので家事がしやすいですし、廊下を兼ねた水廻りを設けたことで回遊性が生まれ、生活動線も向上しました」

事務所兼住宅として活用中

完成した住まいは、事務所兼住居として活用中です。長期優良住宅化リフォームにより断熱性能を向上させましたので、リフォーム前に比べてとても暖か。64㎡の空間にエアコン1台で、十分に快適です。不満がどこにもない家が完成し、満足しています。将来、どのようなライフスタイルになっても対応できる住まいを設計しましたので、先々も安心ですね。

LDKを設けない間取りにこだわったというYさん。3つの居室を一体の空間としても使う際は、エアコン1台で空調を賄える。
LDKを設けない間取りにこだわったというYさん。3つの居室を一体の空間としても使う際は、エアコン1台で空調を賄える。
(最終更新日:2019.10.05)