中古マンションを購入する際、「建物の性能」を判断する基準があれば便利ですよね。もちろん物件によって状態や環境は異なりますが、マンションが建てられた年代によってある程度の特徴を知ることができます。それぞれの特徴についてARUHIマガジン編集部が調べてみました。
「建築基準法」が見直される度にマンションのレベルも変化
マンションの性能には、建築基準法の変化が大きく影響しています。まず、ポイントとなるのは1981年6月の建築基準法改正です。この改正によって耐震性能の基準が強化されたため、中古マンションを購入する際には、まずこの「新耐震基準」を満たしているかどうかがポイントになると言われています。
さらに1993年の改正では、耐火基準の向上が図られました。2000年代以降は、2003年の改正によってシックハウス対策が義務化されたほか、2006年には建築基準法の改正とともにバリアフリー新法が施行され、2008年には構造審査が厳格化されました。
年代別の特徴は?
1980年代
住まいを購入する際、建物の耐震性能は気になりますよね。そこで一つの基準となるのが、1981年6月にスタートした「新耐震基準」です。
1978年に発生した宮城県沖地震で、鉄筋コンクリート造の物件が倒壊または大破するケースがあったことから、耐震設計法が見直されました。
旧耐震基準である “震度5程度の地震に耐えうる”という規定から、“震度6以上の地震で倒れない”という規定に強化されています。
構造はもとより、給水管などの耐久性もアップしているため、一般的にはこの「新耐震基準」を満たしているかどうかかポイントになると言われています。しかし、当時の性能では“遮音性”や“断熱性”などでは劣る場合があるためチェックが必要です。
また、築年数の経過によって建物や給排水管の劣化などが進行しているため、大規模な改修工事を済ませているかどうかも確認しましょう。
物件の購入後にリフォームやリノベーションを行う場合には、構造や仕様などの問題で水周りの大幅な変更ができないケースが多いため注意が必要です。
1990年代
1991年~1993年というのは、バブルが崩壊した時期です。1994年以降はマンションの供給過多となり「大量供給時代」とも言われています。
都心や駅近の物件や、大規模マンションが多く建設されました。大規模マンションが増えたことにより、コミュニティスペースなどの共用部分や、オートロックや宅配ロッカーといった共用設備も充実していきました。
また、1995年の阪神淡路大震災によって、住宅性能に対する意識が高まった時代でもあります。そのため、耐震性能はもちろん、“遮音性”や“断熱性”といったマンションの基本性能も重視され始めました。
しかし、物件によって導入されている設備や性能のバラつきがあります。価格の相場もさまざまなので、しっかりと状態を把握しましょう。
2000年代
ピッキングによる侵入盗が急増したことを受け、1990年代後半から人々の防犯意識が高まってきます。ピッキングに強いディンプルキーなど、マンションにも防犯対策が積極的に導入されるようになりました。
2000年代に入ると、防犯カメラが設置される物件も増え、警備会社による常時監視なども広まります。さらに、住環境への配慮も高まってきます。
2003年には、シックハウス対策が義務化され、咳やくしゃみの原因となる化学物質を発散させる建築材料の使用が規制されました。同時に24時間換気システムの設置が義務づけられています。
住宅性能としては、遮音性の高い二重床・二重天井が普及。将来的にリフォームのしやすい構造の物件も増えています。IHクッキングヒーターなどが導入されたオール電化マンションも建設され始めました。
まとめ
中古マンションを選ぶ際、建てられた年代の特徴を参考にして物件を絞り込むという方法もあります。しかし、耐震補強工事などによって耐震性能を高めていたり、大規模なリフォームやリノベーションを行っていたりする物件もあります。必ず個々の物件のチェックも行いながら、自分たちの希望にあう物件を探しましょう。
(※写真はイメージです)
(最終更新日:2019.10.05)