住宅購入は人生の一大イベントです。予算決めや物件選び、住宅ローンの借り入れから登記と引き渡しまで、いろいろな手続きや段取りが必要になります。スムーズに手続きを進めるためにも、まず住宅購入とローン借り入れの全体像を把握しておきましょう。全体の流れがわかっていれば行動計画も立てやすく、先の見通しがつくので安心です。住宅購入とローン借り入れの一般的な流れをご説明します。
住宅購入の全体像を知っておこう
ほとんどの人にとって、住宅を買うというのは人生の一大イベントです。一生に一度の買い物という人も少なくないことでしょう。
一般の人で住宅購入に慣れているという人はなかなかいないと思いますので、住宅購入を決心したら、まずは物件選びから住宅ローンの借り入れ、さらには入居するまでの流れといった住宅購入の全体像を把握しておきたいところです。
マラソンもスタートからゴールまでのコース全体を把握できてこそ、ペース配分ができて完走が可能になるのと同様に、住宅購入も全体の流れがわかっていれば行動計画も立てやすく、先の見通しがつくので安心です。
では早速、住宅購入の流れを「物件購入の流れ」と「住宅ローンの流れ」の2つの軸で図にまとめてみましょう。新築マンションや新築一戸建て、中古マンション、中古一戸建てなど購入する物件によって、多少の違いはありますが、基本の流れはこの図のようになります。
まずは予算決めをすることが大切
雑誌やインターネットなどを見ると、住宅購入の流れをまとめた記事の多くは、まず物件選びからスタートすると書かれているものが多いようです。
ですが、私の考えとしては、物件選びからスタートするのはおすすめできません。なぜなら、物件選びから始めてしまうと、背伸びをした物件、つまり身の丈に合わない物件を選んでしまう傾向があるからです。
予算を十分に検討しないまま物件選びを始めてしまうと、どうしてもグレードの高い物件に目が向いてしまいがちです。そうなると、「月々の返済は現在の家賃と同じくらいです」とか、「頭金がなくても購入できますよ」といった営業マンの言葉に惑わされて「何とかなるだろう」と甘く考えて住宅ローンを組んでしまう人が少なからずいらっしゃるのです。
そのような住宅ローンの組み方をしてしまうと、返済を始めた当初はいいのですが、子どもが生まれて教育費がかかるようになったり、収入に変化があったりした場合に、住宅ローンの返済が大きな負担になってしまうことが少なくありません。ですから、まずは無理のない予算を決めて、予算に合わせた家探しをすることをおすすめします。
予算を決める際には、できれば金融機関などに属していない独立系のファイナンシャル・プランナーなどに相談して、将来の家計をシミュレーションしてもらうと安心ではないでしょうか。
住宅ローンの事前審査を受けるタイミングは?
予算が把握できたら、住宅購入を希望するエリアと、「新築にするか中古にするか」「マンションか一戸建てか」といった物件の種別を決めて、実際に物件を探し始めましょう。
気になる物件が見つかったら、見学に行きましょう。実は、複数の物件を見る前に、衝動買いのように即決で住宅を購入してしまう人は意外と多いのですが、できるだけ多くの物件を見ることをおすすめします。複数の物件を見ることで、どんな家に住みたいのか、自分の希望も明確になっていくはずです。
購入する物件が決まったら、購入申し込みをします。多くの場合は、このタイミングで住宅ローンの事前審査を受けることになります。事前審査の結果が出るまでには、金融機関にもよりますが、約1週間程度かかります。事前審査が通らないと売買契約を結べないので、もし心配な場合は、複数の金融機関で事前審査を受けるのもいいでしょう。
なお、住宅ローンについては、不動産会社の提携ローンを利用することもできますが、自分で住宅ローンを選びたい場合は、物件探しと並行して住宅ローン選びも進めておきましょう。
中古住宅を購入される際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要がありますが、仲介手数料が半額とか最大無料といった割引サービスをしている会社もありますので、そうした会社のなかから信頼できる営業マンを見つけて住宅ローンの手配をお願いするのもいいかもしれません。
住宅ローンの本審査から融資実行まで
住宅ローンの事前審査が通ったら、不動産の売買契約を結び、その後に住宅ローンの本申し込みをして本審査へと進みます。売買契約を結ぶ際には、手付金を支払うのが一般的です。手付金とは売買契約の成立を示す証拠金のようなもので、物件価格の一部を先払いするものです。
本審査には約2〜3週間程度かかりますから、売買契約を結んでから住宅ローンの融資が実行されるまでには少なくとも2週間、一般的には1ヶ月程度はかかります。
その間に買い主に心変わりされてしまうと売り主は困ってしまいます。そこで、買い主の都合で契約を解除する場合には、手付金は解約金として全額、売り主が受け取ることになっています。
ここまでお話ししたところで、もしも住宅ローンの審査が通らなかった場合に、売買契約が解除できるのか、解除できたとしても手付金を返してもらえないのではないかという点が気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
安心してください。売買契約時に「ローン特約」をつけておけば、住宅ローンの審査に通らなかったために契約を解除する場合、手付金は全額返金されることになります。ですから、売買契約にローン特約が盛り込まれているかどうかは必ず確認しておきましょう。
何事もなく本審査を通過すれば、住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)を結び、融資が実行されることになります。
引き渡し前には物件の最終チェックを
無事に融資が実行されれば、残金決済が行われます。残金決済とは、購入価格から手付金を差し引いた残りの金額を支払うことです(契約時に支払った手付金はそのまま購入代金の一部にあてられます)。
残金決済が終われば、いよいよ物件の引き渡しです。住宅の鍵を受け取って、いつでも入居できる状態となります。不動産の所有権を売り主から買い主へ移転するための所有権移転登記が行われるのもこのタイミングです。ちなみに、少し細かい話ですが、新築物件の場合には、建物の登記は所有権移転登記ではなく所有権保存登記となります。
なお、引き渡しの前には、購入する物件の最終確認を行います。新築物件であれば、施工不良などがないかをしっかりとチェックしなければなりません。もし施工不良などがあれば、売り主や施工会社に指摘して引き渡しの時までに補修してもらいましょう。
注文住宅を建てる場合に注意すべき点は?
ここまで一般的な物件選びと住宅ローン手続きの流れを見てきましたが、注文住宅を建築する場合には、注意すべき点がありますので簡単に触れておきましょう。
一般的に住宅ローンの融資が実行されるのは、住宅が買い主に引き渡される時です。そのため、注文住宅を建てる場合でも、住宅が完成するまで融資は実行されません。
ですが、建築会社に対しては、建物の着工時に「着工金」、上棟時に「中間金」といった具合に、工事の進行状況に応じて契約金額の支払いをしなければなりません。それらの代金を現金で用意できればいいのですが、それが難しい場合には、住宅ローンとは別に「つなぎ融資」と呼ばれるローンを一時的に組んで支払いを行われなければならないのです。
このつなぎ融資は、住宅ローンの融資が実行されたときに返済しますが、当然、利息や融資手数料などの費用がかかります。注文住宅の建築を考えている方は、つなぎ融資についてもしっかり準備を進めるようにしてください。
注文住宅を建てる場合に注意すべき点は?
最後にもうひとつ大切なことがあります。それは、住宅ローン控除を受けるために確定申告をしなければいけないということです。
住宅ローン控除は、10年間で400万円の控除を受けられるとてもおトクな制度ですから、要件を満たしている場合は、忘れずに確定申告をしてください。ちなみに、サラリーマンの場合は、確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目からは勤務先の年末調整で手続きができます(自営業者など給与所得者でない人は、2年目以降も確定申告が必要です)。
いかがでしょうか。住宅購入は人生最大の買い物と言われるだけあって、いろいろと手続きや段取りが必要になります。とはいえ、全体の流れが理解できていれば、スムーズに手続きを進めていけるのではないでしょうか。
ここでご説明した、住宅購入と住宅ローン借り入れの全体像を把握して、理想の住宅選びを実現していただきたいと思います。
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