介護になったらどこで暮らす? 50代からの住まい計画

Q.子供も独立し夫婦二人だけの生活になったため、子ども部屋を夫婦それぞれの趣味を楽しむ部屋にしようとリフォームを考えています。ただ、将来自分たちの介護が必要になったら住み替えが必要になるのではないかと思うと、どこまで費用をかけるか迷っています。介護になって一戸建てに住み続けるのは難しいでしょうか?(50代/男性/会社員)

子育てのために購入した家も、子どもが独立すると急に広くなり、外壁や屋根の修繕が必要なタイミングで、空き部屋を夫婦が楽しむための部屋にとリフォームを考える方も多いのではないでしょうか?

リフォームの資金計画で考えておきたいのは、“いつまで今の家に暮らし続けられるか”ということです。

20年後、30年後には足腰が弱ったり介護が必要になったりするかもしれません。今の家を終の棲家にできるのかどうかを考えておくことも大切なポイントです。

高齢になってから維持管理ができる家?

一戸建ては、2階建て、都心であれば3階建ても一般的です。食事やお風呂は1階で寝室は2階、洗濯機は1階で物干しがあるベランダは2階と、必ず階段の上り下りが必要なご家庭も多いのではないでしょうか。

生活の動線を考えると、今は苦も無く階段の上り下りができても、70代、80代になると洗濯かごや荷物を持っての階段の上り下りは大変です。

また、今は楽しみな庭木の手入れも、だんだんと草むしりや、枝木を切ったりする作業も負担になってきます。冬に雪が降れば雪かき作業もやらなくてはなりません。スコップで雪かきをするのは重労働です。腰を痛めたり、すべって転んで骨折でもしたら寝たきりにもなりかねません。

さらに自分は健康に暮らしていても、今の住まいが老朽化して自分自身の寿命まで維持できなければ、高齢になってからの住み替えや建替えを考えなくてはなりません。

介護になっても今の家に住み続ける?

こうした一戸建ての不便を考えると、リフォームの前にあと何年この家に住み続けるのかを考えておく必要が出てきます。30年後も住み続けられる家かどうかをチェックするポイントをまとめてみました。

特別養護老人ホームの申し込みは要介護3以上にならないとできなくなりました。夫婦、または一人暮らしで介護状態になった時、在宅介護で要介護2程度までは生活できる自宅かどうかを目安に考えてみましょう。

<バリアフリー化チェックシート>

場所 チェックポイント
玄関 アプローチに階段や大きな段差がないか。
廊下 手すりを付けても車いすで通れるスペースはあるか。
通行だけなら幅80cm程度、回転するなら150cm程度の幅が必要です。
キッチン 車いすでも調理できる高さ、シンク下などにスペースがあり車いすで座ったまま作業ができるキッチンに変えられるか。
袖口に火が着かないよう、IHなどの工夫ができるか。
お風呂 入り口の段差や手すりの位置、浴槽に入るときの段差を解消できるか
トイレ ベッドわきにポータブルトイレを置くスペースがあるか。寝室と同じ階にトイレがあるか。
生活スペース 2階や3階を使わず1階だけで生活が完結できるか。
周辺環境 スーパーや病院、駅、バス停など車が運転できなくなっても生活できる施設がそろっているか。そこに行くまでに坂道や階段がないか。

 

要介護2の目安 食事や排せつ、入浴、衣類の脱ぎ器などに一部または多くの介助が必要。立ち上がりや歩行に支えが必要な状態

リフォームと住み替えを決断するのはいつ?

上記のチェックシートから30年後も住み続けられる家であれば、老後を楽しむための家にリフォームにお金をかけることもよいでしょう。

しかし、今の家に住み続けることが難しければ、今のうちにコンパクトで生活も管理もしやすい家やマンションに住み替えをするのも一つの方法です。

三井不動産リアルティが2013年に行った調査(シニア世代の住まいに関する意識調査)では、50代で老後の住まいについて住み替えやリフォームを考え始めた人が最も多い、という結果が出ています。(※下記図参照。調査記事より画像引用)


50代は子どもの独立で家族構成が変化するとともに、まだ現役としてしっかりと収入がある世代です。まだまだ体力も気力も資金力もあり、住まいへの選択肢も広げることができます。

そして、60歳以降の働き方や年金収入など老後のライフプランも見えてきます。50代はリフォームや住み替えの適齢期です。この時期に安易にリフォームを行うのではなく、老後のライフプランや介護状態になってからの住まい方まで考えて、リフォームや住み替えの資金計画を立てることが大切です。

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(最終更新日:2019.10.05)